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 イレッサ薬害被害者の会

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2019年のあゆみ
8月26日
(月)
●薬害根絶デーの意義
毎年、8月24日は(土.日の場合は前日の23日)、厚生労働書の正面入口周辺に置いて薬害根絶デーが開催される。サリドマイト被害やスモン被害者、HIV(エイズ)被害の方たちが全国から参集、薬害被害の根絶を訴える。この根絶デーには、多くの支援の皆様が参加し被害者たちを支えている。関東近県から仕事の休みを利用して参加している薬剤師の皆さま。薬害被害を自分の家族に遭わせたくないとの思いで参加される方たちも少なくない。薬害被害の裁判に関わって来られた弁護士の方たちも全国から仕事を調整して参加される。
将来薬剤師を目指す薬学部の学生の皆さんも、たくさんの労働組合の皆さま方、医療従事者の皆さまや、薬害被害者に寄り添い時々の不安を診察の中で支援して頂いている医師の皆様方。法律家を目指している法学部の学生の皆さまなど、本当に数え上げることができないほど、多くの皆さま方のご協力を頂き開催されてきたのです。
この薬害根絶デーは、1996年にHIV(エイズ)訴訟が和解により解決されたことを機に、二度と再び薬害は発生させないで、との被害者たちの要望により、厚生労働省の正面左側に、薬害の根絶を誓う「誓いの碑」を建立、この石碑には、再びこのような被害は発生させませんと刻まれました。
この「誓の碑」建立が1999年8月24日であったことから、被害者たちはこの8月24日を「薬害根絶デー」の日と定めて今年で20回の開催が続けられてきました。
薬害の根絶という被害者たちの願いは、20年訴え続けてもいまだ果たすことができません。
薬害の根絶を単にお題目としないためにも、今一度薬害の根絶に向けた取り組みを振り返り、真の根絶に向けた取り組みへの検討を始める時にきているのではないでしょうか。
使用された薬が持つ害作用によって奪われてしまった人々の健康、多くの尊い命のためにも・・・。
当会も、2005年に、全国薬害被害者団体連絡協議会(略称・薬被連)に加盟以降毎年参加し続けてまいりましたが、訴え続けてまいりましたイレッサによる副作用死亡事件に関して、その被害の考え方に当会とは相容れない意見の相違等の問題から、第16回の開催を最後に以降の参加は見合わせてまいりました。かと言って、薬害根絶運動に対する活動には勿論異論があるものではありません。
2015年8月24日・薬害根絶デー(第16回)開催のページ)
 (当会が参加していた当時の根絶デーの一日をまとめ作成してホームページに掲載したものです。ご参考ください。)
6月 6日
(木)
●厚労省交渉のご報告と今後の方向性について。
午前11時より12時までの1時間、東京・霞ヶ関にある厚労省の一階第5共用会議室において、厚生労働省の医薬・生活衛生局の職員5名に参加していただき、予め提出の要請書に沿って厚労省との交渉・回答を求めました。
今回の交渉には、2016年5月に薬価収載・販売が開始された抗がん剤タグリッソ(製造・販売元:アストラゼネカ株式会社)の間質性肺炎により昨年11月にご家族を亡くされたご遺族の方も参加いたしました。
毎年この時期6月の上旬に交渉を行って来て以来、もう何年にもなりますが、これまでの交渉では、確かな回答が厚労省側から得られたことがありません。そのような経緯もあって今年度の交渉も期待できないであろうとは思いつつも、私たちがこの交渉の根底に持ち続けている、「がん患者の命の重さ」を訴えつづけていけば、必ず門戸は開かれるはずと微かでも期待を抱き、2002年10月17日にイレッサの副作用である間質性肺炎の被害にあって苦しみ続け亡くなっていった娘の写真を胸に交渉に臨みました。
◆質問事項第1問
(Q) 昨年一年間のイレッサ使用による死亡被害と販売から累積した死亡被害数について。
(A) 昨年の死亡被害は14例(2018年4月1日〜2019年3月31日)。累積死亡数は1037例。と回答
(Q) 質問事項第2問の、抗がん剤による死亡被害は今日も発生し続けているが厚労省として具体的にどのような対策をとってきたのか。
(A) 今年度5月17日に、乳がん治療薬の「アベマシクリブ」(販売名:ベージニオ錠)にたいして「医薬品の『使用上の注意』の改訂及び安全性速報の配布等について」、「安全性速報」(いわゆるブルーレター)を発出、など今後も患者の安全を第一に適切に対応してゆく所存。
(Q) オプジーボ(一般名ニボルマブ)=【日本では2014年、世界初の抗PD-1抗体として切除不能な悪性黒色腫(メラノーマ)に対して承認。2015年12月、切除不能な進行・再発の非小細胞がんにも適応になった。】 による死亡被害が問題とされているが現在までに厚労省に報告された死亡被害は何例か。
(A) 2014年7月の承認以降2019年3月までに厚労省に報告があった死亡症例数は612例。
◆質問事項第2問
(Q) この一年間で、厚労省が行った副作用被害救済に関連した調査、検討等があれば明らかとしてください。
(A) とりあげて報告する件はない。
(Q) 「医薬品の治験を依頼をしようとする者は、あらかじめ治験に係る被験者に生じた健康被害(受託者の業務により生じたものも含む)の補償のために、保険その他の必要な措置を講じておかなければならない」と規定している。(GCP省令14条)を受けて、医薬品企業法務研究会は、「被験者の健康被害補償に関するガイドライン」をこのように定めています。
「抗がん剤の中には、ホルモン療法剤のように医薬品副作用被害救済制度の対象除外医薬品に掲載されたものもある。また、放射線療法や外科手術療法の局所治療後に再発予防目的で使用される薬剤もあることから、抗がん剤及び免疫抑制剤であることを理由に、一様に、治療費 (医療費及び医療手当) のみを負担し、補償金は支払わないとすることは、必ずしも適切な補償対応とはいえない」としています。
「補償のための必要な措置を講じておかなければならない」と省令で定めた厚労省の責任として、実際の抗がん剤の治験で、どのような補償の措置が講じられているのか当然把握しなければなりません。
この件に対して厚労省は、私たちの問い合わせに対し、「ネットからの情報以上のものは持ち合わせていない」と回答していますがこの対応は決して許されるものではありません。改めて調査し、その上で、治験段階での抗がん剤の副作用死亡被害に対する補償のあり方を検討して下さい。
(A) この要請・質問に対して納得のいく回答はありませんでした。
質問の抗がん剤による死亡被害のところで、タグリッソ(販売開始:2016年5月)の使用によって亡くなられたご遺族の方より、厚労省への要望と、お願いを、以下のように話していただきました。
 ・・・わたしの母はタグリッソを使用しその副作用である間質性肺炎の被害にあって死亡しました。
 服用に際しては、以前に、イレッサによる多くの死亡被害のことは知っていましたので、この薬は大丈夫なのでしょうか?、と訊ねましたところ、「この薬はイレッサの改良薬で副作用も軽くて安全な薬です。間質性肺炎の副作用はゼロではありませんが、リスクは少ないと思います。」との説明でした。
 服用は、処方の際に頂いた服薬指導通りに自宅で飲み続けていました。退院後初めての外来診察日のときに、「入浴時など息がしづらい」ことを訴えると、医師からは、「レントゲン検査も異常なしです。喘息もあるので仕方ないね。」と言われ服薬は続けられました。
 次回の外来診察は2週間後でした。
 受診日の前日、いつもより苦しそうな母の様子に不安を感じました。息苦しさはずっと続いていましたが緊急性を感じることができませんでした。診察を受けると・・、こんなになるまでどうしてもっと早く連れて来なかったのと言われ...、このあと母は亡くなりました(2018年11月)。処方に際して受けた説明との違いなど疑問や不信、死亡例はありませんと説明されたことに対しても、「標準治療です。特別な経過でした。」と曖昧な説明があっただけでした。医師に詳しい説明を求めても取り付く島もなく、診断書をと求めると担当の主治医ではない別の先生の名前で出されました。
 ・・母の死を思うと、医療側の対応に不信と憤りが消えません。このタグリッソは医師の言うようになんの心配も要らない薬であったのか。はっきりとしたことを教えて欲しい。このように死亡するほどの重篤な副作用があると説明で聞かされていたら、高齢(服用時84歳)の母には飲ませることはしませんでした。自分を責め続ける毎日です。
 今年3月4日の新聞記事で、タグリッソを服用していた患者さんが52人も亡くなられていることを知って、医師の言うような、副作用の軽い心配要らない薬なんかではなかったのだとびっくりいたしました。母はタグリッソ80mgを服用続けていましたが、少しでも異常が見られたら休薬なり40mgに変更するなどすべきではなかったのでしょうか。迅速な対応をとっていただけていたら母は死亡することは避けられたのではないのかと思うと悔しくてなりません。
 この方のお話では、・・服薬手帳も頂いて、そして服用承諾書にはサインもされているとのことから、イレッサの被害と同様で、又しても「使用する患者側の自己責任、患者側が受忍しなければならない仕方のない被害」、とされるのではないかと思うと、何とも釈然としないものを感じます。医療側としては、投与に際してしっかりと訴えられない諸々は確保しながら、安易な処方と医師管理から離れた投与のあり方は、イレッサ被害と何ら変わらない治療が累々と続いているという現状に、イレッサ事件の教訓は生かされてはいなかったのかと、言葉もありません。
※2016年5月の販売開始から2019年1月までに厚労省に報告のあったタグリッソによる死亡数は98名。
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◆交渉に対する今後の方向について
11時より12時まで、一時間をかけて行われました厚労省交渉は、次に繋がるような期待のできる回答が得られることなく終了いたしました。
私たちの要請を受けて、参加していただきました厚生労働省の担当の職員の皆様、また、当会の活動をご理解していただき出席していただきました皆様方に、心よりお礼を申し上げます。
何年も何年も、継続していけばきっと何かが得られるとの思いを胸に、厚労省との交渉を続けて来ましたが、今回の交渉を以て私たちの会は、以後厚労省に対する要請・交渉は行わないことといたします。
この決断に至った背景には、10年にも及んだ厚生労働省交渉におけるその中身において、まったくといっていいほど有意義な回答が得られることはなく、これ以上の交渉は双方において無益であるとの思いから決断するに至った次第です。この決断理由となる問題には、厚労省も含め各学会、臨床の現場の先生方の多くに、私たちの団体について以下のように誤った認識を持たれていることが交渉への大きなハードルとなってきました。
1)抗がん剤を否定している団体である。
2)日本中が待ち望んでいる癌撲滅に向けて開発され続けている分子標的治療薬の抗がん薬に対しても、効果が得られず副作用が大きな危険な薬であるとの考えで使用・販売を否定している団体である。
3)イレッサによる死亡被害は単なる抗がん剤の使用により発生したもので抗がん剤治療ではある程度使用する患者側が受忍しなければならない仕方のないものであるにも関わらず、これを理解せず否定し続けている団体である。
・・・等々から生じた誤解、曲解が今も尚、根深く残り続け、厚生労働省の職員の多くに浸透していることには何ともし難く、交渉以前に、認識のスレが根底にある以上これを取り除くことは不可能であり、従ってこれ以上何年続けても有益なしとの判断に至りました次第です。
まことに残念には思いますが、来年以降は、交渉の月日を見直し有志の皆様方により、例えは「抗がん薬のより良き使用を求める会(仮称)」。とするなどで新たに、「抗がん剤の使用により受けた死亡被害にたいする被害救済制度の創設を求める」交渉が発足できればと期待して、この度の発表といたしました。
これまでの皆様方のご理解とご協力に深く感謝いたします。
2019年6月7日
イレッサ薬害被害者の会・近澤昭雄
5月 7日
(木)
●「患者自ら副作用の報告」、に関するお知らせです。
これは副作用では? と疑われる症状には、患者本人や家族が、国に直接報告する制度が本格的に始まりました。
副作用が疑われる症状に気付いたらどうしたらいいのか、についての詳細が、「独立行政法人・医薬品医療機器総合機構(PMDA)」のホームページに掲載されています。
PMDAのサイトから、⇒一般の方向けを開くと、一般の方におすすめのコンテンツの中程に、患者からの医薬品副作用報告を開いてください。詳しく掲載されています。
3月 7日
(木)
●当ホームページをご覧の皆様と会員の皆様へ。●
・・・振込み詐欺のはがきに気を付けてください・・・
抗癌剤の情報ではありませんが、今日は数日前に私宛に届いた、「民事訴訟最終通達書」と書かれた振込み詐欺についての情報です。
届いたのは3月3日です。尤もらしいことが書かれていますが、何とも稚拙な内容です。
・・・訴訟取り下げ最終期日 3月4日 との記載があり、このはがきを受け取った人に対して、何!、何!、何!、訳が分からないけど訴訟取り下げ最終期日が明日となってるよ・・・、と考える間も与えないような日にちを設定して慌てさせ、どのようなことなのかとにかく電話をしてみようと、すぐに電話を掛けさせるような意図を以って作られています。
(クリック・拡大してご覧ください)
はがきの下部分に記載されている、差出住所とおぼしき箇所には、「訴訟通知センターお問い合わせ・相談窓口」との記載がありますが、この記載も実在のものではありません。どうか冷静な対応で、決して相手に連絡などしないで無視してください。(近)
ご参考までに、「国民生活センター」のホームページにおいて、この振込み詐欺についての注意喚起が掲載されていますのでリンクを貼っておきます。
1月15日
(火)
●本年もよろしくお願いいたします。
大分県佐伯市彦岳より望む大入島・撮影・OGA. j
穏やかな日がつづいて新年も15日が過ぎました。
今年一年を恙なく過ごしていけますよう願っています。
今年は、4月30日に天皇が退位されて、5月1日に新天皇が即位、新元号が施行されて30年間続いた「平成」は幕を閉じます。7月には参議院議員選挙が予定され、また統一地方選、都道府県の議員、政令市の首長選挙、その他の市区町村の首長、議員選挙等と重要な行事が予定されていることから夏過ぎる頃までは何かと騒々しい日々となりそうです。
当会の活動に関しましては、今年も、「抗がん剤による健康被害の救済に関する法制度の創設」、の実現に向けて尚一層の活動を続けて参る所存でございます。この件につきましては、厚生労働省が、薬害イレッサ事件に関する東京及び大阪地方裁判所の和解勧告を拒絶するに当たって、当時の細川厚生労働大臣が国会で、患者のみに被害の負担を与え続けているのは妥当ではないと発言、被害にたいする救済を考えるべきであろうと、救済制度創設を検討する旨を表明。これを機に、2011年6月27日に、「第1回抗がん剤等による健康被害の救済に関する検討会」、が開催されました。しかしこの検討会は、2012年8月12日に開催された第12回において中間とりまとめが行われて以降今日まで中断のままとなっています。細川厚労大臣の後任の小宮山大臣も、「政策上の課題だと受け止めていますので、十分に検討を尽くすべき」と述べています。このような経緯をもって、厚労省には何度となく再開への要望・交渉を行ってまいりましたが明確な回答は得られないままとなっています。これまでの経過に照らせば、厚生労働省には、本制度の創設に向け最大限の努力をする責務があるというべきですが、具体的な制度設計についての提案がないままに、この検討会の審議中断の現状には真に残念と言う他ありません。
会員の皆様、関係の弁護士の皆様方、またご尽力を頂いているご支援の皆様方には、今年も、益々のお力添えをいただけますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
掲載の写真は、大分県佐伯市の湾に浮かぶ大入島です。(島民は950人ほどと10年前にお聞きしていましたが、佐伯市の地域振興課に問合せしましたところ、平成30年の人口動態調査では島民数は659人。島一周の距離は道路を歩いた距離で17Kmと回答をいただきました。) ・・私がここ大入島にたいへんゆかり深いということで、親しくさせていただいている、S県にある医科大学に勤務する先生が、昨年晩秋に彦岳に登られた際に撮られた一葉をご厚意で送って頂きました。ゆかり深いというものの、何年も何年も訪れていないという遠い場所で、それだけにこの写真をただぼんやりと眺めているだけで、潮の香を、油の匂いいっぱいの連絡船、くねくねとした島の道路など当時を思い出し、しばしの時を忘れています。(近)

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