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 イレッサ薬害被害者の会

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2016年のあゆみ
12月13日
(火)
早稲田大学ジャーナリズム研究所 (ワセダクロニクル)の取材を受けました。

調査報道に特化した大学発のメディア「ワセダクロニクル」のスタートに向け第一弾として発表するテーマに「薬害」と「メディアの責任」についてということで、イレッサが世に出る際、記者が情報の出所に慎重にあたり、副作用についてもきちんと調べていれば、失われずに済んだ命がたくさんあったはず等々の質問に関して。・・午後1時より3時過ぎまでさいたま市大成町にて。

11月29日
(火)
医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団「2016年薬害エキスパート研修講座」において講演

日本薬学会 長井記念ホール(東京都渋谷区渋谷2-12-15 地下2階) において、「被害者家族・弁護士から見たイレッサ事件」として被害家族から、イレッサ薬害被害者の会の近澤昭雄、イレッサ訴訟弁護団から京都市民共同法律事務所の中島晃弁護士が講演しました。

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◆エキスパート研修会 認定コース「薬害教育エキスパート研修講座」とは
医薬品は、有効性と安全性のバランスの上に使用されるものであり、使い方や体質等によっては、期待される有効性より有害作用が強く現われることがあります。
わが国においてはこれまで、「薬害事件」として大きな社会的関心を呼んだ健康被害事例を繰り返し経験し、また、その教訓は、再発防止を目指してわが国における薬事制度の見直し等に有効に活かされてきました。
RSエキスパート研修会 認定コース「薬害教育エキスパート研修講座」は、戦後の代表的な薬害事件について、被害者の方々、薬害事件を直接担当された弁護士、メディア関係者、行政経験者等から生の声を聴き、薬害事件の経緯、なぜ防止できなかったのか、再発防止に向けた教訓は何か、教訓は現在の薬事制度に如何に活かされてきたか、製薬企業や医療現場におけるリスクを最小化するための方策は何か等を研修します。これにより、薬害事件の教訓を今後の安全対策や製薬企業や行政、医療機関等におけるリスクマネジメントやリスク最小化に如何に活かすべきか、製薬企業や行政、医療、教育の現場で如何にして薬害事件の教訓を次の世代や関係者に伝えていくかについて学ぶことができる構成となっています。
◆認定取得のメリット
レギュラトリーサイエンス エキスパート認定 薬害教育分野の認定取得により、製薬企業や行政、医療関係者や教育関係者等が、常に医薬品等の安全性に気を配り、薬害を発生させないように取り組む真摯な姿勢を示すとともに、薬害教育を担当する上での研修を継続的に受ける等により、その資質を有していることを第三者に示すことができます。
◆認定者の特典
認定証および認定カードを発行します。
薬害教育分野だけではなくMA、開発、PV、品質分野の認定者を含めた、参加者を限定したレギュラトリーサイエンスに関する意見交換会(認定者ネットワークの会)等に優先的に参加することができます。
また、認定更新時には認定期間中に開催される専門コース(半日〜1日、ICH、局方)の研修会を受講できる無料チケットを1枚進呈します。ただし、複数分野の認定を更新される場合でも一人1枚とさせていただきます。
◆対象者
製薬企業・医療機器企業の法務・経営企画・広報・開発
◆開講期間
各年度に1回開講
◆講師陣
薬害被害者、弁護士、メディア関係者、薬事行政関係者、医療関係者、製薬企業関係者、アカデミア、教育関係者等
◆認定要件
薬害分野の登録者で、認定コースを受講し、レポート等を提出し、審査に合格した方
◆認定期間
原則として2年度間(例えば、平成28年11月に認定者となった場合、認定期間は平成31年3月末までとなります。ただし、毎年、登録を継続する必要があります。)
◆認定更新
認定を更新するためには認定期間中に、@薬害教育分野のRSエキスパート研修会 認定コースを受講するか、A企業や学校・大学等において、薬害教育を実践しているか、B薬害教育に関する論文・報告を提出し審査に合格するか、@〜Bのいずれかを満たす必要があります。
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医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団ホームページより参照https://www.pmrj.jp/temporary_yE/bunnyabetsu_YG.pdf 

11月24日
(木)

関東地方に初雪


11月の初雪は何と54年ぶりとのこと。ここ、さいたま市でも午前10>時ころより降りだして一時は5センチにもなる積雪となるが午後4時ころ降り止んで天候は回復。


11月20日
(日)

全国薬害被害者団体連絡協議会(薬被連)世話人会


NPO法人 京都スモン基金事務所で開催、参加のために前夜23時10分発高速バスを利用して翌早朝6時50分に京都駅着。いつものように時間まで京都を散策。午後1時30分から約3時間、薬害被害者として今後も取り組まなければならない諸々の問題について話し合い。


10月22日
(土)
●全国薬害被害者団体連絡協議会(略称・薬被連)主催の、第18回・薬害根絶フォーラムが東京・御茶ノ水の東京医科歯科大学の歯科棟特別講堂で開催、参加しました。
全国薬害被害者団体連絡協議会、は1999年10月22日に結成、翌日の10月23日(土)に第1回の薬害根絶フォーラムを「全国薬害被害者団体連絡協議会結成記念の集い」として、東京都目黒区福祉センターホールにおいて、第1部は「薬害被害の実態報告」、第2部は「薬害根絶と教育〜薬害被害の教訓は生かされているか〜」というテーマで開催されて以降、今年、東京・御茶ノ水の東京医科歯科大学の歯科棟特別講堂(175席) 開催で18回を迎えます。
因みに、当・イレッサ薬害被害者の会は、2005年10月22日に、大阪YMCA国際文化会館 YMCAホールで開催の第7回に初参加して以降、協議会の加盟団体の一員として11年間を共に活動続けてまいりました。
今年の第2部のテーマ「子供達に薬害をどう伝えていくか」。"子供達を薬害の被害者にも加害者にもさせたくない” ためにと願う私たち被害者の思いは、厚労省に、そして文科省に対して要望を続けた成果が、少しづつですが医学や薬学部・看護学部などの学生の皆さんたちに薬害被害の実態を伝えるための講師派遣や、また薬害被害を伝えるという目的から作成され全国の中学生へと配布されている副読本「薬害を学ぼう」、など形として現れてはきているものの、しかし、ほんの入り口に差し掛かったに過ぎません。
まだまだ頑張らなければなりません。
子どもたちを薬害の被害者にも加害者にもさせないために
どうすれば良いのか。
皆で活動を続けていきたいと思います。 (近)

10月16日
(日)
●大阪市西九条・此花会館で開催された「医薬ビジランスシンポジウム」に参加して来ました。
医薬ビジランスセンターが開催するシンポジウムは、毎年定期的に開かれて来ましたが、ここ数年は開催がありませんでした。ことし、「薬害はなぜ なくならないか 〜裁判の非科学性を問う〜」とのテーマで久しぶりの開催ということをお聞きしましたので、早速にパネリストとして参加をさせてくださいとお願いしまくりで、事務局の方たちのご理解をいただきましたので、出かけて来ました。
会場は、大阪環状線の西九条駅からすぐの此花会館、時間は11時45分から17時40分とかなりの長時間のシンポジウムです。
参加者は、医師や薬剤師など医療関係者が多く、また弁護士や薬害根絶運動に関わって来られた方たち、また、インフルエンザワクチンのタミフル脳症被害者の会の皆さん。そして、子宮頸がんワクチンの被害者のお嬢さんがお母さんの介助を受けながら車椅子での参加、ちょうど会場に入られるところでお会いしましたが、イレッサの近澤さんですよね・・と声をかけていただきましたので、少し立ち話のお話しをいたしました。これから訴訟となるといろいろとたいへんなことがあります。でもくじけずに頑張ってください。お一人でも多くの方たちに、一枚でも多くのビラを配って、この悲惨な被害を多くの皆さんに伝え続けることが最も必要なことです。応援します。車椅子に身を委ねて参加された被害者のお嬢さんを目の当たりにして、多くの言葉が出て来ませんでした。
私たちが訴えたイレッサ被害の時には、多くのメディアのご理解もご協力もいただきましたが、その反面では多くの新聞や雑誌、テレビからも不理解の報道が繰り返されて、それが時には直接のバッシングや嫌がらせ等に繋がったという忘れられない忌わしい経験をしてしまいました。この子宮頸がんワクチン被害者の方たちが、そのような二次的な被害に遭うことがないようメディアの慎重な配慮をお願いしたいものです。そう願わずにはおれませんでした。
午後5時40分に、スケジュール通りにシンポジウムは終了して、会場の外に出るともうすっかりと暗くなっていました。
たくさんの一期一会がありました。
ちょっとの嫌なこともありました。
だから・・・。人生なんですね。
いつものことで帰路も、大阪駅BTから高速バスに乗車して東京へ、そしてさいたま市に帰ります。乗車の22時すぎまで、さて、夜の大阪・・どこを歩いてみようかな...。 (近)

10月11日
(火)
東京薬科大学(東京都八王子市堀之内1432-1) 生命科学部において講演。

これまで日本で起こされた薬害被害、関連して、夢の新薬とされて販売された抗がん剤イレッサによる多くの死亡被害について、10時30分より11時40分の70分間、生命科学部の4年生240名に聞いていただきました。

9月11日
(日)
雑感・・

深夜に、2001年9月11日の世界貿易センタービルのテロ事件が放映されていた。何度見てもあまりにも悲惨な事件で震えるような怒りがこみ上げて来る。ちょうどこの日、01年9月11日は、娘の三津子が、朝出勤したものの体調の不良で病院の診察を受け肺癌との告知を受けた日で、我が家にとっては同時テロ以上に忘れることの出来ない日となってしまった。

あの日から既に15年が経過した。単に肺癌患者ということで、いずれは死亡する命と決め付け、多くの被害は無視されてどこにもその責任はなしとは...。ただ悔しさだけが残る。

7月 7日
(木)
大阪医科大学において講演

授業タイトル:「患者の理解」
授業項目:「病気の体験と医療者への期待」
医学部一年生と看護学部一年生の約200名。

6月 2日
(火)
厚生労働省交渉を行いました

厚労省1階共用会議室において、薬害イレッサ被害に関連して抗がん剤の使用の改善、抗がん剤被害に関する被害救済制度の問題等について午前11時より、交渉・要望を行いました。今年からは交渉時間が1時間となってようやく単独の交渉ができるようにはなりましたが、しかし、イレッサによる被害に関する厚労省の認識は、・・イレッサによる死亡被害については詳しくは知らない。また、多くの死亡被害についても詳しいことは聞いていないといったふざけた回答に終始。あまりにも酷いもので怒りもでない。これが厚労省職員の真の姿なのか。


5月26日
(木)
東大・駒場キャンパス1号館118教室において講演を行いました。

〜日本の医療の光と影・ゼミナール〜で、津田弁護士(東京・池袋の城北法律事務所)と共に参加。16:50〜18:35(5限目)において、イレッサ被害について講演しました。

4月4日
(月)
●埼玉県幸手市にある桜の名所、権現堂公園。

娘が肺癌と告知されたのは2001年9月でしたが、この年の春に彼氏と花見に訪れたのが、ここ・埼玉県と茨城県の県境にある権現堂公園で、びっしりと黄色いじゅうたんのように延々と咲き揃った菜の花と、平行して桜の花が見事な景色の中で笑っている娘の写真が、遺品の中に何枚も残されていました。
落ち着いたら・・・、娘の写真を胸に訪ねようと思いながら、大阪、東京での裁判、全国での訴訟活動等と、いつ終わるとも知れない有り様では、予め予定を立てての花見など出来る筈もなく、必ずその内にと思い続けて参りました。
裁判が終了して3年目の今年は、どうにか好きな日取りの中で行動予定が組めるようになってきましたので、今年の桜の開花予想と照らしながら4月4日に花見に行こうと決めて、当然・行き先は幸手市にある権現堂公園です。
ところが、4日の当日、夜半からの雨が降り続いて花見には行けそうにもありません。
仕方ないかと諦めていましたが、お昼前に小雨模様となりましたので、傘越しに見るサクラもまた一興と、折角なので行くだけでも行ってみようと大宮駅から東部アーバンパークラインに乗車して春日部駅、そこで乗りえ変えて幸手駅、権現堂公園まではバスで10分程という1時間30分程で到着、・・いつかは権現堂・・がようやく実現しました。
到着した頃にはすっかり雨も上がって晴れ間も見えます。午前中に雨が降っていたということで人出も少なく何とも贅沢なお花見です。身体一杯を包み込む菜の花の香りと、時折の風にハラハラと舞い散る桜の花びら、この景色の中の何処かに娘も訪れているのではないかと感じながらのひと時でした。 (近)

4月1日(金) ●清水英喜さん(薬害イレッサ訴訟西日本原告団団長)が3月29日に
亡くなられました。

昨年の暮れに、数ヶ月ぶりで携帯に連絡をいただき話しをしました折のこと、「どうも体調が思わしくないので診察を受けたところ、暫くおとなしくしてくれていた肺癌が急速に動き出したようで進行しているらしく、年明けの桜の時期までは持たないかもと主治医より説明があった。」と本人は明るく話しをされてはいましたが内心では・・、相当の苦しみ、つらい思いを胸に秘めて話されていたのだろうと想像はつきました。
清水さんと癌との闘いは長く、2001年9月、右肺に肺ガンがみつかり切除手術を受けたが翌年7月の検査ではリンパ節などに転移ガンが見つかり、次の治療にイレッサが選ばれました。しかし服用直後からすさまじい副作用に見舞われ死の淵をさまようほどの経験をしながらも何とか乗り切られて、以降も、何度となく転移を繰り返し15年間、死との恐怖と闘い続け何とか癌に打ち勝ちたいと頑張って来られたのですが、何とも残念でなりません。享年60歳でした。
ご冥福をお祈りいたします。

3月17日
(木)
薬害エイズを考える山の手の会の定例集会に於いて講演

東京・JR飯田橋駅隣接の東京ボランティアセンター10階会議室Aにおいて、午後7時より、イレッサ死亡事件について聞いていただきました。

3月9日(火) ●イレッサ下書き情報公開訴訟上告不受理決定の知らせが届きました。

【最高裁に係属しておりました、イレッサ下書き情報公開訴訟(上告受理申立人:薬害オンブズパースン会議)について、2月25日付けで上告不受理決定がなされ全面敗訴の高裁判決が確定となりました。】
とのお知らせのメールが作日8日に、担当弁護士の方より届きました。
結果については、ある程度予測してはおりましたが、ただ残念、という言葉のみでは言い表すことのできない、では・いったいこの被害は・・、和解拒否に関した下書き事件は何だったのか、と悔しさがよみがえってまいります。2012年5月27日に毎日新聞の社説で掲載された・・「では、何が原因なのか」、と書かれた記事を思い出しています。
 ■社説:イレッサ原告敗訴 では、何が原因なのか
毎日新聞 2012年05月27日http://mainichi.jp/opinion/news/20120527k0000m070081000c.html

 これまでの薬害訴訟でも繰り返されてきた光景ではあるが、原告全面敗訴となったイレッサ訴訟の大阪高裁判決を見ると、薬害救済における司法の壁の厚さや不可解さを感じないわけにはいかない。

 肺がん治療薬「イレッサ」訴訟の判決はこれが4度目だ。1審では大阪地裁が輸入販売元のアストラゼネカ社に賠償を命じ、東京地裁はア社だけでなく国の責任も認めた。ところが、2審になると東京高裁も大阪高裁も一転して原告の訴えを退けた。イレッサは難治性の肺がんにも有効性があり、承認当時の添付文書の副作用欄に間質性肺炎が明記されていた。だから認可した国にも販売元の会社にも責任はない、というのが大阪高裁の判断だ。
 では、販売後わずか半年で間質性肺炎によって180人が死亡、2年半で死者557人に上ったのはなぜか。「(添付文書を読めば医師は)副作用発症の危険性を認識できた」と大阪高裁判決は断定する。医師たちは危険を分かりながら副作用死を出してきたというのだろうか。
 情報とはどのような状況や文脈の中で使われるかによって伝わり方がまったく違ってくる。当時の状況をもう一度思い出してみよう。イレッサは副作用の少ない「夢の新薬」と大々的に宣伝され、難治性の肺炎患者や家族の期待はいやが上にも高まった。間質性肺炎はたしかに添付文書に載ってはいたが、重大な副作用欄の後ろの方の目立たないところにあった。臨床試験では間質性肺炎とみられる死亡例がいくつも報告されていたが、それらは添付文書のどこにも載っていない。
 やはり情報の伝え方に問題があったと見るのが自然ではないだろうか。実際、目立つように添付文書が書き換えられてから副作用死は急減した。ただ書いてあればいいということではないはずだ。長い歳月の裁判に徒労を感じるのは被害者だけではないだろう。
 実は、1審判決の前、東京・大阪地裁は和解を勧告し、原告側は和解による早期決着を求め、政府も和解を検討していた。ところが、関係医学会から和解勧告を批判する見解が相次いで出され、結局は国もア社も和解を拒否した。後になって、厚生労働省の担当部局が各医学会に発表を促し、一部は声明文の下書きを渡していたことが判明する。
 高い専門性に覆われた分野で未知のリスクをどう判断するかは難しい問題だ。専門家がどのような立場や思惑で「危険情報」を発するかによって、大きな恩恵にも悲劇にもなり得る。そうした情報伝達の本質が医療や司法の世界でどのように理解されているのか、疑問が残る。
ただ、分かっていることは、何ひとつとしてその原因を、責任の所在を明らかとしないまま、多くの死亡者を土中深い闇の中に埋隠したということです。 (近)

2月10日
(金)
●薬害被害を語り合うある会の学習会に参加しました

薬害被害の悲惨な状況を理解し皆で分かち合おうと毎回4〜5人で続けられたこの会の活動は今年で20年を迎えるということです。今回は、2月10日午後7時から2時間、東京の北区王子駅に隣接するNPOボランティアぷらざ4階のサロンコーナーで11人が参加して開催されました。
被害の状況を理解し皆で分かち合おう・・・、という開催趣旨に惹かれたのは言うまでもありませんが、主催者とは10年来の知り合いということもあり、たっての参加を望まれて2度目の出席となりました。
私・近澤からは提言として、
「●日本ではもう薬害被害は起こらない・・被害を消し去ることで連鎖を防ぐ」と題して
(1) インフルエンザ治療薬タミフルの被害者の今、名古屋高裁における控訴審判決の現状について
(2) 子宮頸がん予防ワクチンの被害者の苦しみ・心因性とされる前に、皆で考え行動しなければならない必要性について
(3) 消し去られてしまった抗癌剤イレッサ事件について
(4) 厚生労働省が認めなければ薬害被害とはされない摩訶不思議さ・・「中学生に教える薬害を学ぼうと題された教材」について
話をいたしました。
・・・学習会が終了してのこと、ある参加者のお一人から・・、「抗癌剤についてはいろいろ難しい問題はあると思うが、イレッサは効いている患者がたくさんいるということについてはどう思っていますか」、との軽い感じの問い掛け。
この質問は、何度も、何度も、詰問として私たちに向けられた言葉です。
まさか、このような薬害被害の問題を主とする会に参加する方の中にも、このような思いをもって質問が出てくるとは夢にも思いませんでした。その質問者曰く、「多くの患者さんに効果が得られている素晴しい薬ですよね、抗癌剤とは重い副作用があることは初めから分かり切っていることですよね。」と、製薬会社の、厚労省の、一部の臨床の現場からも、また忌まわしい思いとして思いだしたくもありませんでしたが、某デレビ局の、薬害問題に精通しているとされていた報道デレクターのI氏からも、作為を以って言われ、訴訟を起した私たちに対する批判の代名詞として何度も何度も投げかけられた言葉です。
私の返答は・・・、
この度の抗癌剤イレッサ訴訟は、「抗癌剤の副作用被害が許せないと訴えたものではありません。イレッサの販売停止を求めたり回収等を求めたものでもありません。副作用が極めて軽く錠剤タイプであるから手軽に服用できる安全な抗癌剤と販売が開始される前からさまざまなメディアで取り上げられて、主治医からも副作用がなく効果の大きな素晴しい薬と説明されて医師管理のない自宅服用が推奨された挙句に多くの死亡被害が発生したことに対して訴えを起したものです。」、発売が開始されて僅か1年で294人の死亡、訴訟が開始されるまでの2年5ヵ月で557人もの死亡被害は余りにも大きな考えられない被害です。抗癌剤イレッサそのものに欠陥があったのか、国と製薬会社が作成し医師向けに示された使用のガイドラインそのものに問題があったのかについて、癌患者の命の重さを問い訴えた訴訟です。
被害の発生・拡大について、国に対し、製薬会社に対して発生直後に問合せしましたが、「抗癌剤の被害ではこの程度の被害は患者側が受忍すべき許容の範囲の被害で、また、副作用で死亡したと主張している夫々の患者は、容態の悪化が死亡の原因である。」との回答に、このままでは癌患者の命が見捨てられてしまう、騙されて飲まされ命を絶たれた悔しさ、命の重さを訴えた訴訟です。とお答えしました...が。
質問者のお顔からは、・納得できました・、といった様子は見られませんでした。
何度も言ってきましたが・・・、どのように素晴しい薬でも、どんなに大勢の患者に対して効果が得られていても、その医薬品が副作用の大きな抗癌剤ではあっても、販売が開始されて僅か1年で294人もの死亡被害は完全にアウトでしょう。何も知らされずに信じて使用した被害者に対しては、ごめんなさいと言うべきでしょう。
2002年10月17日、埼玉県さいたま市のとある公立病院の一室で、イレッサの服用による間質性肺炎を発症して、対処の術なく苦しみ続けベットに座ったままで亡くなっていった我が子の悲惨な姿を思うと、喉もとまででかかった怒りを飲み込んで、「まだまだ難しい問題山積ですよね.....。」と受け流す事が出来たのは、これまで受けた多くの非難の耐性故か、はたまた被害発生から今年で14年という歳月の流れに救われたのでしょうか。
イレッサ被害の真実は、
(大阪地裁判決・2011年2月25日) ・・(東京地裁判決・2011年3月23日)、において示された判決が、明解で全てを物語っていると思うのですが。 (近)
【医師の1〜2人が添付文書を読み誤ったというのであればともかく、多くの医師が読み誤ったと考えられるときには、医師に対する情報提供の方法が不十分であったとみるべきである】

2月 5日(金) タミフル訴訟:
控訴審裁判の判決で遺族側の請求が棄却されました。

インフルエンザの治療薬「タミフル」を服用後に異常な行動を起して転落死した当時中学生だった愛知県在住の遺族が、独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」に対して、この事件は、タミフルによる副作用の被害であると医薬品による副作用被害の救済を求めましたが、タミフルとの因果関係が証明できないとして請求を却下されたもので、この棄却決定を取り消し被害の救済をと求めて提訴した控訴審の判決が5日、名古屋高等裁判所において開かれました。
名古屋高裁判決は、昨年(2015年)開かれた名古屋地裁判決での・・「タミフルと異常行動との因果関係を肯定する調査はいまだ存在しない」として請求を退ける判決が下されましたが、この判決には納得できないとして遺族が控訴していた訴訟で、再び遺族の請求を棄却する判決が下されました。
判決後に開かれた記者会見で、実名を明かして訴えている被害遺族のお一人である秦野竜子さんは、2005年2月、長男皓平君(当時14歳)を、インフルエンザ治療薬タミフルを服用した後、自宅マンションの9階から突然飛び降り、亡くしています。
「タミフルの添付文書に「異常行動」が起きる可能性があるとして医薬関係者に注意喚起を図る意味から、平成16年5月、添付文書の「重大な副作用」欄に「精神・神経症状(意識障害、異常行動、譫妄、幻覚、妄想、痙攣等)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、観察を十分に行い、症状に応じて適切な処置を行うこと。」と注意喚起が追加されたにも関わらず、「突然死を起して死んだ子供たちにそれを認めないということは到底理解できない。何故息子が異常行動を起して突然亡くなったのかその真実を知りたい」、と訴えているものです。 (近)
タミフル服用後の異常行動について(厚労省医薬食品局発出)

(一部抜粋)・・
(1)タミフルによる「精神・神経症状」については、因果関係は明確ではないものの、医薬関係者に注意喚起を図る観点から、平成16年5月、添付文書の「重大な副作用」欄に「精神・神経症状(意識障害、異常行動、譫妄、幻覚、妄想、痙攣等)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、観察を十分に行い、症状に応じて適切な処置を行うこと。」と追記した。
(2)タミフルを服用したとみられる中学生が自宅で療養中、自宅マンションから転落死するという痛ましい事例が2例報道された。このことなどを受け、万が一の事故を防止するための予防的な対応として、特に小児・未成年者については、インフルエンザと診断され治療が開始された後は、タミフルの処方の有無を問わず、異常行動発現のおそれがあることから、自宅において療養を行う場合、(1)異常行動の発現のおそれについて説明すること、(2)少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することが適切と考え、2月28日、その旨を患者・家族に対し説明するよう、インフルエンザ治療に携わる医療関係者に注意喚起した。
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