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 ◆ 副作用被害報告制度はあるけれど
 医薬品副作用被害報告制度とは、薬事法(第77条4の2項)の規定により、医薬品や医療機器などによって副作用や感染症を疑う事例が発生した場合、製薬会社や医療機関・医師は速やかに、厚生労働省に報告することを義務づける制度です。この副作用報告制度は、サリドマイド、スモンといった医薬品の副作用による重大な健康被害の発生を教訓として、昭和54年10月に(医薬品副作用被害救済基金、元・医薬品副作用被害救済研究振興調査機構、現在の独立行政法人・医薬品医療機器総合機構)設立された制度で、1967年より開始され、1996年の薬事法改正により、製薬会社からの報告が法律で義務づけられました。一方、医療機関からの報告は2003年7月より、ようやく報告が義務づけられましたが、医療機関からの報告が義務づけられているのは、保険衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときであり、医師が必要が無いと判断したときは、報告する必要が無いという程度のものでもあり、罰則の規定はありません。
そして、この制度の中に抗がん剤は含まれていません。

この、医薬品副作用被害報告制度の枠から外されている抗がん剤で、大勢の副作用による死亡被害が起きました。この副作用被害が2002年1月に承認され8月に販売が開始された「分子標的薬イレッサ」です。死亡被害者の数は2004年末時点、販売開始から僅か2年半で557人と発表されていますが、被害者の1人として厚生労働省に副作用死亡の届けが出されているかどうかは不明です。多分? 医療機関から報告されていると思うのですが・・・としか言えません。何故,多分なのかと言いますと、このイレッサの副作用被害について、厚生労働省は全例調査の実施もなく被害調査も行っていません。「各医療機関において適切に処理されていると判断している」として、医薬品副作用被害報告制度の枠から外されている抗がん剤による副作用死亡は検討の必要はないとの考えのようです。
国からしてこの程度の認識ですから、抗がん剤の副作用被害による死亡を厚生労働省に届けたからといっても何があるわけではありません。副作用被害をそれぞれの医療機関の全ての医師が厚生労働省に届出を行ったとした場合、正確な副作用の数が出ることは確かで医療現場に対する危険へのシグナルの発信にはなります。しかし、こんな事をされたら製薬会社は非常に困ることになるのは事実で莫大な資金を費やして開発した新薬の販売の低下に繋がることになります。いつの時でもそうですが予測の出来ない被害が出たとき、報告を少しづつ後出しして遅らせ、被害人数を日数で分散させると、死亡数のパーセントは操作可能となります。副作用の死亡などの場合いちどきに死亡が出たとなると、社会的にも非難は一気に高まり関係機関への責任問題にも発展しかねませんが、ある程度の期間で副作用死亡数を分散して報告すれば世間も納得する傾向があります。1人1人の患者の命より企業の利益を優先する体質には常に監視の目をむけ、副作用被害報告制度の重要性を訴えて行かなければならないと思います。
2009-02

黙っていては癌治療は変わらない ハチのムサシになったとしても



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