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※傍聴後記... |
「イレッサ:安全対策調査会」と表題のついたこの日の審議会は,緊急で,厚労省のホームページで2日前の29日に告知され開催まで僅か2日,しかも午後6時から午後8時の時間という異例の中で開催されました。 |
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出席した各委員は,2005年1月20日・3月10日・3月17日・3月24日と都合4回開かれたイレッサ検討会と同じ顔ぶれで粛々・淡々と議題が進行,イレッサにまつわるこれまでの経緯が説明されて,次に今回初めて国内で行われた臨床試験の結果が報告され,この結果内容についての各委員の意見や質問と続きました。 |
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最終の取り纏めの段階で,ではこのイレッサをどのようにするかについては,一部には効いている患者もいること,また夢の新薬と信じて服用している患者も多く,QOLの点からも配慮は必要として市場に残すべきと各委員全員の一致したところのようでした。この試験結果の「イレッサは延命の効果が出なかった」事だけは全員が認めながら,「延命効果が証明されなかったことを各医療の現場に伝え注意喚起を徹底させること」としてこの審議会を纏めました。 |
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日本では余り大きな報道はされませんでしたが,昨年秋にお隣の韓国で,このイレッサに対し起されていた訴訟の判決が出されました。その判決とは,「イレッサという抗癌剤は効果が認められない薬であるのだから高く販売をするのはおかしい,価格を下げなさい」といった判決内容でした。 |
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この韓国の判決にもある通り,今回日本で行われた臨床試験を含め,5回何れも延命効果を証明できなかった事,ヨーロッパでは承認の取り下げ,アメリカでは新規患者への投与は禁止されている効果不明の薬であるにもかかわらず,日本の医療現場では「夢の新薬」として製薬会社のお先棒を担ぐような患者不在の治療をこの先もまだ続けると言うのでしょうか。このイレッサの価格7216円の価値はどこにあるというのでしょうか。 |
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今回の「イレッサ:安全対策調査会」の審議会でも,ある委員から,既に先の検討会から二年も経過しているのに未だにデータの解析が出ていないとはあまりにも企業は怠慢でないのか,と厳しい指摘がありました。しかし・・この指摘には他の委員はまったく反応はなくこの意見には聞こえないふりなのです。この検討会が人間の命について議論しているという認識がないとしか思えず,自分には肺がんは無縁なものと思っているのでしょうか。 |
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厚労省はいつになったら,国民の命を守るという本来行うべき指導力を発揮するのでしょうか |
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アストラゼネカ社は,いつになったら人間の命を救うという本来の業務に戻るのでしょうか。 |
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いずれにしましても、肺癌患者に処方する治療薬といった先入観を除いて、安易な処方による被害から起こされたものということを認識の上、患者が安心して服用できる抗がん剤治療の改革を望むばかりです。 |
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平成19年2月2日
イレッサ薬害被害者の会
近澤昭雄 |
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