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HOME > Topics一覧 > イレッサに延命効果なし・国内臨床試験結果を発表


イレッサ、延命効果示せず
販売元が臨床試験結果を公表
 平成19年2月1日、厚労省において 「イレッサ:安全対策調査会」が午後6:30〜8:30開かれ,肺がん治療薬イレッサの日本における第三相臨床試験の結果について、「延命効果を見出せなかった」とアストラゼネカ社から報告されました。
イレッサ(ゲフィチニブ)に係る第V相試験の結果及び使用に関する当面の対応
延命効果なしに関する声明

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◇[読売新聞]・・イレッサ、優位を証明できず…厚労省審議会で報告
 重い副作用が問題となっている肺がん治療薬イレッサ(一般名ゲフィチニブ)について、既存の抗がん剤と比較して延命効果がより高いことを証明できなかったことが、国内の市販後臨床試験で明らかになった。

 1日開かれた厚生労働省の審議会で報告された。
対象者は、非小細胞肺がんと呼ばれる肺がんで、手術など他の治療が難しいと判定された患者490人。全体をイレッサを投与する群と、別の抗がん剤タキソテール(一般名ドセタキセル)を投与した群に分け、投与開始から死亡までの延命期間や安全性を調べた。

 その結果、投与開始から1年後の生存率は、イレッサ48%、タキソテール54%で、投与から1年半を過ぎると、イレッサ服用者の生存率が上回った。しかし、いずれも大差はなく、延命効果が優れている証明はできなかった。安全性については、副作用の間質性肺炎を起こしたのはイレッサ14人、タキソテール7人で、死亡した3人はいずれもイレッサ服用者だった。

 イレッサは海外の臨床試験で、偽薬と比較しても延命効果が証明されなかったが、非喫煙者、東洋人などでは延命効果を認めた報告がある。02年7月のイレッサ販売以降、間質性肺炎など副作用による死者は昨年9月末現在で676人に上っている。

(2007年2月1日22時34分 読売新聞)

◇[毎日新聞]・・抗がん剤:「イレッサ」の延命効果示せず 輸入販売元発表
 肺がんの抗がん剤「イレッサ」(一般名ゲフィチニブ)について、輸入販売元のアストラゼネカ社は1日、日本人患者約500人を対象にした臨床試験の結果、従来の抗がん剤「ドセタキセル」と比べて同等以上に生存期間を延ばすとは言えなかったと発表した。厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の安全対策調査会はア社の報告を受け「肺がん患者の2度目、3度目の抗がん剤治療で、一般的にドセタキセルと比べイレッサを積極的に選択する根拠はない」との見解を出した。

 抗がん剤の延命効果を日本人の患者で調べた結果が国に報告されたのは初めて。イレッサは欧米での4回の試験でいずれも延命効果を証明できなかったが、「東洋人では延命効果が示唆された」として日本では販売を認められている。

 ア社は03年9月以降、全国の抗がん剤治療歴のある肺がん患者490人を無作為に半数ずつに分け、片方をイレッサで、もう片方をドセタキセルで治療した。その結果、イレッサで治療された患者の1年生存率は48%で、ドセタキセルの52%を下回った。患者の半数が死亡するまでの期間もイレッサは12か月で、ドセタキセルの14か月に満たなかった。同調査会参考人の分析では、使用開始後1年未満で、ドセタキセルの方が生存率が高いことが示唆された。副作用による死者は、イレッサで3人。ドセタキセルはなかった。

 一方、「生活の質が改善した」と評価された患者は、ドセタキセルの約1割に対しイレッサで約2割に達した。

 イレッサは02年に世界に先駆けて日本で発売された。間質性肺炎という重い副作用で患者が続出し、死者も出た。英国のア社は欧州での承認申請を取り下げ、米国、カナダ、スイスは新たな患者へのイレッサの使用を禁じている。【高木昭午】

◇朝日新聞・・イレッサ、延命効果示せず 販売元が臨床検査結果報告
 副作用死を多く出した肺がん用の抗がん剤イレッサ(一般名ゲフィチニブ)の輸入販売元のアストラゼネカ社(大阪市)は1日、別の抗がん剤タキソテール(一般名ドセタキセル)と比べ、イレッサの延命効果がすぐれているとはいえない、との調査結果を厚生労働省に報告した。これを受けて同省は「タキソテールに優先してイレッサを使う根拠は一般的にはない」と、同社から医薬関係者に向けて情報提供するように求めた。

 イレッサの02年の承認時に、有効性と安全性を確かめる市販後の臨床試験が義務づけられていた。このため03年9月〜06年1月、全国50施設の肺がん患者490人を対象に調査が行われた。

 イレッサとタキソテールを使ったそれぞれのグループを比べると、治療開始後1年の生存率はタキソテールが54%で、イレッサは48%だった。

 イレッサについては「喫煙歴のない東洋人の女性で腺がんの患者には特に効果が高い」との報告もあり、同省は今後、患者の性や治療歴などによる効果の差について、詳しい調査を求める。

 イレッサの副作用報告は06年9月までに1708件あり、うち676人が亡くなっている。
2007年02月02日00時16分
※傍聴後記...
 「イレッサ:安全対策調査会」と表題のついたこの日の審議会は,緊急で,厚労省のホームページで2日前の29日に告知され開催まで僅か2日,しかも午後6時から午後8時の時間という異例の中で開催されました。
 出席した各委員は,2005年1月20日・3月10日・3月17日・3月24日と都合4回開かれたイレッサ検討会と同じ顔ぶれで粛々・淡々と議題が進行,イレッサにまつわるこれまでの経緯が説明されて,次に今回初めて国内で行われた臨床試験の結果が報告され,この結果内容についての各委員の意見や質問と続きました。
 最終の取り纏めの段階で,ではこのイレッサをどのようにするかについては,一部には効いている患者もいること,また夢の新薬と信じて服用している患者も多く,QOLの点からも配慮は必要として市場に残すべきと各委員全員の一致したところのようでした。この試験結果の「イレッサは延命の効果が出なかった」事だけは全員が認めながら,「延命効果が証明されなかったことを各医療の現場に伝え注意喚起を徹底させること」としてこの審議会を纏めました。
 日本では余り大きな報道はされませんでしたが,昨年秋にお隣の韓国で,このイレッサに対し起されていた訴訟の判決が出されました。その判決とは,「イレッサという抗癌剤は効果が認められない薬であるのだから高く販売をするのはおかしい,価格を下げなさい」といった判決内容でした。
 この韓国の判決にもある通り,今回日本で行われた臨床試験を含め,5回何れも延命効果を証明できなかった事,ヨーロッパでは承認の取り下げ,アメリカでは新規患者への投与は禁止されている効果不明の薬であるにもかかわらず,日本の医療現場では「夢の新薬」として製薬会社のお先棒を担ぐような患者不在の治療をこの先もまだ続けると言うのでしょうか。このイレッサの価格7216円の価値はどこにあるというのでしょうか。
 今回の「イレッサ:安全対策調査会」の審議会でも,ある委員から,既に先の検討会から二年も経過しているのに未だにデータの解析が出ていないとはあまりにも企業は怠慢でないのか,と厳しい指摘がありました。しかし・・この指摘には他の委員はまったく反応はなくこの意見には聞こえないふりなのです。この検討会が人間の命について議論しているという認識がないとしか思えず,自分には肺がんは無縁なものと思っているのでしょうか。
 厚労省はいつになったら,国民の命を守るという本来行うべき指導力を発揮するのでしょうか
 アストラゼネカ社は,いつになったら人間の命を救うという本来の業務に戻るのでしょうか。
いずれにしましても、肺癌患者に処方する治療薬といった先入観を除いて、安易な処方による被害から起こされたものということを認識の上、患者が安心して服用できる抗がん剤治療の改革を望むばかりです。
平成19年2月2日
イレッサ薬害被害者の会
近澤昭雄


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