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 ◆ 弁護士を求めて 
 医療過誤被害や薬害被害ではないかと思っても、個人が被害の立証をするなどはまず不可能なことです。製薬会社や医療機関が自ら被害や過誤を認めて謝罪することはまずありません。被害患者やその家族が疑問に思ったことから調べを進めて少しづつ真相が明るみになる。一般的には医療過誤の場合は、患者や家族が体に対する異常に気づき、医療側への詰問から表面化することが多く、また、薬害被害の場合は被害人数も多いこと等で新聞・テレビなどの報道から明るみとなり、被害状況などが患者や家族に伝わって行くと言うのがほとんどです。

被害の実態がだいたい分かった時点で、患者本人や家族はどうするかを決めることになるのですが、体への被害が小さければ話し合いなどで解決つくこともあるでしょう。しかし、死亡や大きな後遺症が残るような被害であった場合、話し合いでは解決はつきません。いろいろの意見や考え方はあるでしょうが、提訴して法廷の場で被害の実態や原因を明るみにしてもらう、今後の被害の拡大防止と被害者の救済を求めることが最善と私は考えています。医療現場の中には医療訴訟には反対を唱える従事者が多く、「訴訟で決まるのは勝敗であって真実の解明ではない」、「医学の問題点を裁判で裁くことは不可能」、といった意見も多く聞こえて来ますが対話にも限界があります。訴訟という方法が現実的で最も良い手段ではないでしょうか。

医療過誤や薬害被害にあった場合、相談に乗ってくれる専門の弁護士さんは何処にいるのでしょうか。私たちは、普通に生活していれば提訴とか裁判に関わるなんてほとんど無縁なものです。急に弁護士を探したいと思っても、誰でも良いというわけにはいきません。どのようにすれば良いものか誰しもが壁にぶっかります。

まず、居住している市区町村の法律相談に出かけて相談することからスタートするのも良いでしょう。そこから次の専門的な相談が可能な弁護士さんを紹介してもらったりして根気よく相談に足を運ぶ。何度も、何件も、何人もの弁護士に相談してはじめて取り上げて聞いてくれる弁護士さんに行き着くのが普通で、事案によってはここまで来るのに数年かかると言うのも珍しいことではありません。また、聞いて貰えたからといってもすぐに取り上げて提訴までいけるとは限りません。相談の申し込みをするとだいたいの弁護士事務所では予約して相談となり、その都度規定の相談料(だいたい30分5000円程度)を支払います。ここで、相談者が勘違いしてはいけないのが、相談して相談料を支払ったからと言って訴えを受けてもらったという受任ではありません。ここまではあくまでも相談の聞き取りです。この時点で弁護士が訴訟は可能と判断すれば、今後の話し合いや対応について何らかの意思表示をしてもらえると思います。

しかし,聞き取り・話し合いの結果、「ではご苦労様でした」と言うことになったら、まずここでは訴訟について受けることは出来ませんと言われたと判断しても良いでしょう。次回の相談日の期日は言われないはずですから納得ができなければ、次の弁護士事務所を探して尋ねる。何度でも、何度でもです。納得の門が開くまで。

私たちのイレッサ訴訟は、提訴までに2年がかかりました。多くの弁護士事務所を訪ねました。多くの弁護士さんに聞いてもらいました。長い、長い流浪の日々のように、まるで山頭火みたいに足を引きずり訴え続けました.。

今日も駄目かも知れないが諦めずに探してみよう、この被害は単なる抗がん剤の使用による副作用被害ではありません...、どうか話しだけでも聞いてください...と訴え続けました。聞いて貰うことが出来れば門戸は開かれるかも知れないと相談に出かけ続けていたら、これは酷い! 薬害被害と言える事件です! 訴えましょうと言ってくれる弁護士に漸く辿り着きました。


2005-01

つれづれ記


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