HOME

 イレッサ薬害被害者の会

リンク集 お問合せ

HOME > Topics一覧 > 緊急申し入れ

 厚生労働省とアストラゼネカ社に対する緊急申入れについて

2004年12月24日、イレッサ薬害被害者の会は、薬害イレッサ訴訟東京弁護団と薬害イレッサ訴訟大阪弁護団と共に、厚生労働省に対して緊急の申入れを行いました。

 12月17日のFDAのイレッサに関する声明文の内容について、厚生労働省の見解はFDAがイレッサの生存率延長は認められなかったとの声明文を発表したその日(12月17日)には既にイレッサの製薬会社であるアストラゼネカ社より報告を受けていたにも係わらず何の対処もなく、一番早く知らせてあげるべきガン患者の人達に発表もしないままに本日24日までこの事を放置していた事が、申入れの答弁で分かりました。

 厚生労働省の答弁では、FDAの報告は、最終のものでないと判断して次の報告待ちの形を取った、といったことと、イレッサは東洋人には何故か生存率が高いといった報告もあることから、このFDAの報告は日本人にはあてはまらないのではないかと考えている、とも答弁されています。

 しかし、このたびの実験は世界28カ国で実施したと言っていながら、何故か日本の患者は入っていないといったデータなのに、東洋人には依然として生存率は高いと言っている根拠は何処にあるのか疑問と憤りを感じます。

 私達「イレッサ薬害被害者の会」は、イレッサを潰すとか、根拠もなしに販売中止を求めるなどと考えているのではありません。一日も早く科学的な証明がなされて、患者が安心して服用できるイレッサを望んでいるのです。「現時点においてははっきりとしたデータも証拠も示すことは出来ないが日本人には効いている薬だから・・・」などと言ったレベルの話しでは余りにも情けない事と考えます。このようなレベルの話であるのならば、治験と言う方法で、イレッサの服用を望む患者さんに対しては無料として第三相試験を行えばよいのです。

以上、アストラゼネカ社と、厚生労働省に対しての申入れの主旨です。 


 2004年12月24日
厚生労働大臣  尾 辻 秀 久 殿
アストラゼネカ株式会社
  代表取締役  加 藤  益 弘 殿
イレッサ薬害被害者の会
代 表  近  澤  昭  雄
薬害イレッサ東京訴訟弁護団
団 長  白  川  博  清
薬害イレッサ大阪訴訟弁護団
団 長  中  島     晃
緊 急 申 入 書
1 FDAは、2004年12月17日、アストラゼネカ社の市販後大規模臨床試験においてイレッサに延命効果がないという結果が出たことを受け、市場からイレッサを回収するか、他に妥当な規制措置を採るかを決定するという緊急声明を出した。
声明は、現在イレッサを使用中の患者はすみやかに医師に相談すること、代替薬としてタキソテール等が利用できるとも述べている。

2 厚生労働省は、遅くとも2004年12月17日に、アストラゼネカ社から、イレッサに延命効果がないという市販後大規模臨床試験の結果を受け取っていながら、現在に至るまで情報の提供を含め何ら積極的な対応をとっていない。極めて遺憾である。

3 アストラゼネカ社は、FDAの声明を受けたプレスリリースで、イレッサの第2相臨床試験(IDEAL1)で示された腫瘍縮効果等は確かなものであり、日本においては、イレッサは治療抵抗性の非小細胞肺がん患者にとって有用な薬だ等と述べているが、腫瘍縮小効果はあくまで代理のエンドポイント(指標)である。重要なのは、真のエンドポイントである延命効果である。それが否定されたにもかかわらず、なおも腫瘍縮小効果を指摘して有用性があると説明し続けることは、延命を願ってイレッサに望みを託した肺がん患者を愚弄するものという他はない。

4 日本では、2002年7月の販売開始後2004年3月までに、444人がイレッサの副作用である間質性肺炎、急性肺障害等で死亡しており、イレッサによる急性肺障害、間質性肺炎の発現率は5.81%、死亡例は2.5%と推定されている。他の抗がん剤と比較しても高い危険性である。
  
 イレッサについては、2002年8月、既存の標準化学療法剤にイレッサを上乗せして行われた大規模第3相試験INTACT1,INTACT2において延命効果がないという結果がでていたが、このたび、単剤投与の市販後大規模臨床試験においても延命効果が否定されたことにより、イレッサには医薬品としての有用性がなく、欠陥商品であることが、一層明確になった。
  
イレッサについては、販売を中止するべきである。また、承認申請データの全面的な公開を求める。

5 もとより、使用中の患者の方々に対しては、代替薬への移行を含めた十分な医療上の配慮がなされるべきであり、それに厚生労働省、アストラゼネカも、十分な配慮・協力を行うべきである。
以  上



 Copyright (C) Iressa Yakugai Higaisyanokai.All rights reserved.
裁判関連資料
Topics一覧