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たくさんの皆さまに傍聴頂き有難うございました。  次回の西日本裁判の期日(大阪地裁)は11月28日(水)です。宜しくお願い致します。

 薬害イレッサ訴訟とは
 2002年7月に日本で初めて承認・販売された抗がん剤によって副作用被害に遭った私たち被害者と遺族が,当時の誇大な広告宣伝に対する疑問,承認したことに対する疑問などについて起こした裁判です。生きたいための治療で,例え余命少ない命ではあっても,当時の誤った広告宣伝,効果を煽った販売方法,危険情報の不開示によって起こされた被害に対する訴えです。

承認・販売される一年も前から,さまざまな方法を用いて著名な医師たちが効果を謳い「副作用が少なく,素晴らしい薬,延命の効果も大きく正に夢のような新薬」との情報を信じ,肺ガンの患者たちはいっきに使用した結果,販売から僅か二ヶ月後には多くの副作用による死亡が確認され被害は増大。この事実からアメリカでは新規の患者には使用禁止の措置が取られ,ヨーロッパでは製薬会社が販売のために出していた承認申請を自ら取り下げ現在もこの措置に変わりありません。しかし日本では,被害発生の後も使用制限など何の対策も取られないことで現在までに706人もの患者が亡くなっています。私たちは,軽々に扱われるガン患者の命の重さを訴え,この訴訟を勝利することで,見捨てられるガン患者への医療改革を目指しています。


 上の写真は裁判終了後にいきいきエイジングセンターで行なわれました報告集会の様子です。



◇次回以降の裁判期日◇

◆西日本訴訟期日(大阪地裁)

11月28日(水)202号法廷において,13時15分〜行なわれます。
この裁判では,被告側証人として出廷する,愛知ガンセンターの光富医師に対する被告側代理人による主尋問です。


◆東日本訴訟(東京地裁)

10月31日(水)午後1:10〜103号法廷。この裁判では被告側証人として出廷する国立ガンセンター副院長・西條長宏医師への主尋問が行なわれます。


●お問合せ●

 イレッサ薬害被害者の会

電話:048-653-3998
FAX:048-651-8043
mail:iressa-higainokai@nifty.com

薬害イレッサ西日本訴訟弁護団
京都市中京区烏丸御池東入
アーバネックス御池ビル東館6階
御池総合法律事務所
弁護士・永井弘二
電話:075-222-0011
FAX:075-222-0012

 ●裁判のご報告
 薬害イレッサ西日本訴訟は,第一回期日が2004年11月1日に開かれて,今回期日で18回目となりました。たくさんの皆さまに傍聴に駆けつけてご支援頂き有難うございます。

今回の大阪地方裁判所202号法廷での裁判は,被告側証人として出廷した福岡正博近畿大学教授に対する原告側訴訟代理人による反対尋問で,約80名の傍聴人が見守る中,午前10:00より午後5:00近くまで行われました。
弁護団 反対尋問報告
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西日本訴訟弁護団より,福岡証人に対する反対尋問の詳しい報告をしていただきました。

●被告側証人・福岡正博近畿大学教授に対する反対尋問

◇原告側訴訟代理人の尋問

まず,ヘルシンキ宣言にふれ,
「被験者の利益は、科学や社会に対する寄与よりも優先されるべきであるとの原則について質問,新薬の開発を進めるにあたり,治験に参加している人命の尊重の問題について尋問。

・ヘルシンキ宣言27条の
著者および発行者は倫理的な義務を負っている。研究結果の刊行に際し、研究者は結果の正確さを保つよう義務づけられている。ネガティブな結果もポジティブな結果と同様に、刊行または他の方法で公表利用されなければならない。この刊行物中には、資金提供の財源、関連組織との関わりおよび可能性のあるすべての利害関係の衝突が明示されていなければならない。この宣言が策定した原則に沿わない実験報告書は、公刊のために受理されてはならない。」点に触れ証人に確認しました。

つづいて,証人・福岡正博医師が現在理事長を務める
NPO法人西日本胸部腫瘍臨床研究機構の運営資金の流れについて尋問。
・このNPO法人西日本胸部腫瘍臨床研究機構の収支決算をみると企業から の寄付がこれまでに一億円以上にもなっている点を確認。

・アストラゼネカ社との共催やその関連会社とのセミナーやフォーラムに参加 しているが,この際の謝金収入はどのようになっているのか質問。

・福岡証人は,治験承認医師として新薬の開発に大切な役割を果たして来たが・・承認前からアストラゼネカが主催した研究会にたびたび出席,その際に受けた謝金などについて質問,福岡証人は,謝金や交通費はその都度頂いたと証言。

・つづいてヘルシンキ宣言13条の
すべてヒトを対象とする実験手続の計画と作業内容は、実験計画書の中に明示されていなければならない。この計画書は、考察、論評、助言、および適切な場合には、承認を得るために特別に指名された倫理審査委員会に提出されなければならない。この委員会は、研究者、スポンサーおよびそれ以外の不適当な影響を及ぼすすべてのものから独立であることを要する。この独立した委員会は、研究が行われる国の法律および規制に適合していなければならない。委員会は進行中の実験をモニタリングする権利を有する。研究者は委員会に対し、モニタリングによる情報、特にすべての重篤な有害事象について情報を報告する義務がある。研究者は、資金提供、スポンサー、研究関連組織との関わり、その他起こりうる利害の衝突および被験者に対する報奨についても、審査のために委員会に報告しなければならない。点についてふれ,金銭的な関係があってはならないのは当然であるが,仮にそのような事実があれはそれを開示する,利益相反に関する情報の開示について尋問。

福岡証人は,尋問の最後に
このイレッサの死亡率は2.数パーセント。現在報告されている706人の死亡も現在の抗がん剤治療の事情の中では許容の範囲である。と延べました。


この福岡証人の尋問の詳細報告を,イレッサ弁護団に寄せていただき,こちらに掲載いたします。暫くお待ち下さい。

●報告集会
大阪地裁から徒歩15分程の所〜いきいきエイジングセンター〜にて報告集会を行いました。

今回の裁判では,大阪のある高校の生徒5人が傍聴して熱心にメモを取り,また報告集会にも参加してくれました。・・「裁判の傍聴は初めてだか,薬害の裁判ということで少し難しい内容とは感じたが社会の一員として,これからの勉強のためにイレッサの被害について,もう少しグループで調べ考えて行きたい」と力強い発言があり大きな拍手が沸きました。

他にも,薬害被害者の方たちや多くの薬剤師の皆さん,東京からわざわざ傍聴に来られた東京民医連の皆さま,支援者のみなさまに参加して頂きました。

 ●私達の願い

 被害にあって亡くなった私たちの家族は,肺ガンの患者であったということで,どちらにしても助からなかった命であった筈と言われ,イレッサについては自己責任で服用したのに何故訴訟を行うのかと,訴訟を起こしたことに対するさまざまな非難,バッシングなどの攻撃を受け続けています。その誤解・非難の訳は,私たちの訴訟が,抗がん剤の早期承認問題の流れに逆行するものと誤解されていること,また,このイレッサを一縷の頼みにしている患者から薬を取り上げようとしている団体であると,実しやかに流されている情報によるものです。これらの情報の出所は何処か,だいたいの察しは付きますが...

私たちが,このイレッサを販売しているアストラゼネカに求めていることは,
706人もの死亡が確認されている事実ははっきりと認識して,決して安全で夢のような薬ではない事を,情報を開示してください。
決して安易な使用はすすめないで下さい。しっかりと処方管理をしてください。
副作用対策についてはしっかりと対応して下さい。必死に生きようとしているがん患者の命を見殺しにしないでください。
安心して使用できるシステムを作ってください。
被害を拡大させた責任を認め,謝罪を行ってください。


西日本訴訟(大阪地裁)・第24回(2008年12月1日)裁判報告

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