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薬害イレッサ東日本訴訟
2006年7月19日、薬害イレッサ東日本訴訟の第9回裁判は、東京地方裁判所103号法廷で
午後4:00分より開かれました。
 イレッサは、「夢の新薬」などともてはやされましたが、重篤な死亡被害が相次ぎ、2002年7月の販売開始後、間質性肺炎や急性肺障害の副作用を起こした人は1631人に上り、06年4月末現在643人もの死亡者を生み出しました。
 昨年末12月17日、米・FDA・食品医薬品局が「イレッサは延命効果がない」と声明文を発表市場からの回収も検討という驚くべきニュースが出され、このアメリカFDAの発表を受けて、英国アストラゼネカ社は、ヨーロッパ各国でのイレッサの承認申請を取り下げ、また、6月18日・FDA(アメリカ食品医薬品局)は、アメリカ国内ではイレッサの新規患者投与の禁止を通達しました。
 この対応からもイレッサが欠陥商品であることは明らかですが、イレッサをどの国より一番早く承認した日本での対応はというと、多くの専門家を集めてイレッサ検討会(2005年1月〜3月)を続けて4回開き審議しましたが、厚労省は・・証明は出来ないが現場では効いてる患者もいるらしい、患者のQOLを高める役割には必要な薬であるとして使用の継続を決定。安易な決定と無知識な使用などから患者の命は危険に晒され被害は拡大。・・04年11月提訴された本訴訟は、この責任を問い、医薬品における製造物責任法における欠陥とは何かを問う訴訟です。
●裁判開始前に宣伝行動を行いました。
時折強く降る梅雨の中をたくさんの支援の皆さまと共に、地裁前にてイレッサ訴訟に対するご理解とご支援を訴えるチラシを配りました。有難うございました。
●今回の裁判は、 
東京地方裁判所民事103号の大法廷で午後4時より開かれました。開廷時間が4時からとたいへん遅い時間にも係わらずたくさんの方に傍聴して頂きました。
◆まず原告側代理人より
(1)イレッサに「東洋人に対する延命効果が示唆された」とするアストラゼネカの主張には何の価値もなく、それをもって有効性を判断することは全くの誤りであること。
(2)厚労省発表の副作用報告症例数を比較すると、イレッサの副作用症例数が飛び抜けて多いことを主張。
(3)被告アストラゼネカ、被告国が、重要な証拠(イレッサの承認申請資料の概要など)で多数マスキング(黒塗り)しているがそれは真実解明を阻害するので、ただちにマスキングのない資料を提出するよう求めました。
(1)についての原告側の主張はこうです。
 抗がん剤の臨床試験では、試験対象となる抗がん剤を使用した患者さんのグループ(A群とします)と、それを使用しない患者さんのグループ(B群とします)で、試験をはじめてどれくらいの期間、生存できたか集計して比較します。そうするのが鉄則なのです。
 ところが、製薬会社が期待したような結果(Aの方がBより生存期間が長い、という結果)が得られなかったとします。 そんなとき、医薬品に効果があると言えないかと期待して、なされるのが、「サブグループ解析」というものです。事件
 極端な例で、A群の結果をいろんな観点から見ていると、乙女座の患者さんと、他の星座の患者さんで分けて、生存期間を比較すると、乙女座の患者さんの方が生存期間が長いという結果が得られるとします。このように、小さいグループに細分化して小さいグループ間の比較をして、何か結果を得ようとすることをサブグループ解析と言います。もし、上記の「乙女座の患者さんにはよく効いて、他の星座の患者さんには効かない」と解析結果が示され、誰が信じるでしょう?星座の話はオーバーにしても20パターンもサブグループ解析をすれば、1パターンは偶然に何らかの差が出るというのが、統計学の常識だということです。
 アストラゼネカが行った「東洋人に延命効果が示唆された」というのも、まさにサブグループ解析の手法を用いられており、東洋人の延命効果が証明されたかのように言うのは全くの誤りなのです。このようなことは、すでに昨年1〜3月に厚労省で行われた「ゲフィチニブ検討会」でも統計学の専門家も、臨床の医師も指摘しており、何の意味もないことは決着済みのことです。にもかかわらず、アストラゼネカは、訴訟では不当にも、平気で東洋人には延命効果が認められたかのごとき主張を行っているのです。

●原告代理人による意見陳述
第9回口頭弁論では・・・原告側が、被告国と被告アストラゼネカ社の不法行為責任について意見陳述いたしました。
求釈明書6・・被告国および被告会社に対し、イレッサの第V相試験の試験計画書についての求釈明を提出。
意見書・・書証のマスキングについて意見書を提出。
●原告側訴訟代理人意見陳述
原告訴訟代理人 弁護士 岡村 実意見陳述書
原告訴訟代理人 弁護士 水口真寿美意見陳述書
原告訴訟代理人 弁護士 鈴木 麗加意見陳述書
●裁判終了後の報告集会
裁判後には報告集会を弁護士会館5階507ABC会議室で開きました。

次回以降の裁判の予定
・・東京地方裁判所・・ ・・大阪地方裁判所・・
10月 4日(水)第10回 午後3:00〜101号法廷
11月22日(水)第11回 午後3:00〜103号法廷
9月12日(木)第12回 午後1時15分〜
11月13日(水)第13回 午後1時15分〜
・・ お問い合わせ ・・
イレッサ薬害被害者の会
代表・・近澤 昭雄

電話・048-653-3998
FAX・048-651-8043
mail: iressa-higainokai@nifty.com
薬害イレッサ訴訟東日本弁護団
豊島区西池袋1-17-10
池袋プラザビル6階
城北法律事務所
電話・03-3988-4866
FAX・03-3986-9018
事務局長・弁護士 阿 部 哲 二


次回東日本訴訟・第10回(2006年10月4日)裁判報告