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薬害イレッサ東日本訴訟

2006年3月15日(水)、薬害イレッサ東日本訴訟の第7回裁判は、東京地方裁判所101号大法廷で、午後1:30分より開かれました。
 イレッサは、「夢の新薬」などともてはやされましたが、重篤な死亡被害が相次ぎ、2002年7月の販売開始後、05年4月末現在607人もの死亡者を生み出しました。昨年末12月17日、米・FDA・食品医薬品局が「イレッサは延命効果がない」と声明文を発表、市場からの回収も検討という驚くべきニュースが流されました。このアメリカFDAの発表を受けて、英国アストラゼネカ社は、ヨーロッパ各国でのイレッサの承認申請を取り下げ、また、6月18日・FDA(アメリカ食品医薬品局)は、アメリカ国内ではイレッサの新規患者投与の禁止を通達しました。
 この対応からもイレッサが欠陥商品であることは明らかですが、イレッサをどの国より一番早く承認した日本での対応はというと、厚労省が多くの専門家を集めてイレッサ検討会を続けて4回開いて審議しましたが、・・証明は出来ないが現場では効いてる患者もいるらしい、患者のQOLを高める役割には必要な薬であるとして使用の継続を決定。安易な決定と無知識な使用などから患者の命は危険に晒され被害は拡大。・・04年11月提訴された本訴訟は、この責任を問い、医薬品における製造物責任法における欠陥とは何かを問う訴訟です。
●今回の裁判は
開廷1時30分、まず裁判長から原告側、被告側の提出書類の確認がありました。つづいて、原告側訴訟代理人による意見陳述が行われました。意見陳述の詳細は、以下にPDFファイルで添付いたしましたのでご覧下さい。
原告訴訟代理人 木下正一郎弁護士(指示・警告上の欠陥について)
原告訴訟代理人 小池純一弁護士(承認の違法性に関して・被告・国準備書面への反論)
原告訴訟代理人 岡村 実弁護士(被告アストラゼネカ準備書面への反論)
原告訴訟代理人 阿部哲二弁護士(適応拡大によるイレッサの欠陥と国の責任)
●裁判終了後の報告集会
裁判終了後、TKP霞ヶ関会議室(港区西新橋1-6-6虎ノ門立川ビル3階)に於きまして報告集会を開催いたします。
裁判の感想、支援者の方たちのお話、原告の話し、弁護団からイレッサ訴訟の説明などを予定しております。皆様からの質問や疑問についても遠慮なくご質問お受け致します。たくさんの皆様のご参加をお待ち致します。
次回の東日本の第4回裁判期日
5月17日16:00〜17:00東京地方裁判所103号法廷・午後1時30分の開廷となっています。お1人でも多くの皆さまの傍聴をお願いいたします。このイレッサ副作用被害の裁判のゆくえをご注目下さい。
●今後の裁判日程
◆西日本訴訟(大阪地裁)・・4月27日・7月6日   ◆東日本訴訟(東京地裁)・・5月17日・7月19日
アストラゼネカ社の提出書証にびっくり!
原告側意見陳述の後、被告・アストラゼネカ社が証拠として提出している書証に関して、その内容があまりにも驚くべき酷い内容である事から、原告訴訟代理人側からその提出の真意を質しました。
この件につきましては、是非とも皆さまにお知らせし、知って頂く必要があると思いましたので原告側訴訟代理人・木下正一郎弁護士より解説をして頂きました。以下をご覧下さい
3月15日第7回期日の当日のことです。
被告アストラゼネカより,丙B第9号証,丙B第10号証という分厚い書証(証拠とする文書)が送付されてきました。
見たところ,英文で書かれた,動物実験に関する監査報告書のようです。
被告アストラゼネカは,これらの文書を陳述書(文書の作成者が事実等を述べる文書)であると言って提出してきたのですが,驚いたことに,監査者も監査日もすべて黒塗りにされていました。何頁にもわたって,頁の大部分をきれに長方形で黒塗りしていました。
黒塗りに相当な時間と精力をかけていることが伺え,妙な感心を覚えるほどです。
さて,そもそも,書証というのは,「『作成者』がその意思や認識などを言葉等に表現した紙片その他の有体物を言うとされています。実際の裁判では,文書の作成者が誰かという事実は,その文書の証拠としての価値を判断する上で重要な事実です。作成者にあたる監査者を黒塗りにして証拠だと言って提出するのは,裁判のルールを無視するものです。
この点,被告アストラゼネカ代理人は,「アストラゼネカとしては,あくまで証拠して提出するので,信用性がないと判断するのであればそう判断してもらって良い」と開き直った態度をとっています。
では,そもそも監査者などを黒塗りする理由はあるのでしょうか。
被告アストラゼネカの言い分は,こうです。
監査者については,「アストラゼネカのある英国では動物愛護団体の運動が激しく,動物実験に誰がかかわったかという情報は明らかにできない」,監査日については,「いつ監査を行ったかということも重要なノウハウなので公表できない。」と言っています。
これが,日本でのイレッサによる薬害が問題になっている裁判での発言です。
監査報告書で監査した人物の生命・身体は保護されても,実験動物の生命は尊重されても,アストラゼネカのノウハウは守られても,イレッサによって被害にあう日本の患者の命は,どうなってもいいというのでしょうか。
こんな言い分が通って良い訳がありません。
被告アストラゼネカが隠そうとしている情報を明らかにさせるよう,今後も追求を続けます。
平成18年3月16日

薬害イレッサ東日本弁護団
弁護士 木下正一郎


 
ちょっとひと言・・
肺がん治療薬イレッサは、現在も多くのがん患者に使用され続けて、副作用死という被害を増やし続けています。厚生労働省も、製薬会社のアストラゼネカも、この薬について、延命の効果はない、そして重篤な副作用の被害が発現することが大きいと明言しています。服用を希望する患者に対しては、延命の効果が無いこと、重篤な副作用があること、そして入院して医師の管理の下での服用を指導しています。しかし、この通達は無視されつづけ副作用被害は拡大して、「自己責任」という事で処理され抗議も訴えることも出来ません。
厚労省は昨年のイレッサ検討会の中で、継続使用を決定しました。通達は出しているのだから、後は、患者の自己責任であるとして、副作用で亡くなって行く患者の全てが「自己責任」として処理されます。危険な情報を知って・全てを納得した上でこのイレッサを服用している患者は、果して何割いるでしょう。只単に、医師を信じ・国の承認を信じ、製薬会社の宣伝やホームページに書かれている誇大広告を信じて服用した患者の多くが余命を全うすることなく、副作用で苦しみ亡くなっている現状があります。
何万人とも言われる使用患者の事を真剣に考えるならば、全ての情報を開示することが製薬会社の使命ではないのでしょうか。裁判所に提出した、アストラゼネカの証拠書証の殆どが真っ黒に塗りつぶされていた事実、何の為に・誰の為にほとんどのデータを黒塗りにする必要があると言うのでしょうか。
少しでも患者のことを思う人間らしさが少しでも残っていれば、今回の裁判で行われたアストラゼネカの悪行は速やかに反省して、本来の製薬会社の姿に戻って欲しいと願います。がん患者の皆が期待してこの裁判を見つめている事を忘れないでください。患者の命を守って下さい。
このイレッサ副作用の裁判は、亡くなってしまった患者だけの裁判ではない事を知って下さい。
この裁判によって全てのデータが開示される事により、今も尚服用し続けている患者の皆さんの延命に繋がり、不安のない治療にも繋がっていく事は明白なのです。
その為には私達は全てを賭けて怯まずに行動し続けます。
イレッサ薬害被害者の会・代表 近澤昭雄
・・ お問い合わせ ・・
イレッサ薬害被害者の会
代表・近澤 昭雄
電話・048-653-3998
FAX・048-651-8043
mail: iressa-higainokai@nifty.com
薬害イレッサ訴訟東日本弁護団
豊島区西池袋1-17-10
池袋プラザビル6階
城北法律事務所
電話・03-3988-4866
FAX・03-3986-9018
事務局長・弁護士 阿 部 哲 二

次回東日本訴訟・第8回(2006年5月17日)裁判報告