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薬害イレッサ東日本訴訟
2005年11月30日、薬害イレッサ東日本訴訟の第5回裁判は、東京地方裁判所103号大法廷で、午後1:30分より開かれました。多くの皆さまのご参加で傍聴席を一杯にしていただきました。ありがとうございました。

 イレッサは、「夢の新薬」などともてはやされましたが、重篤な死亡被害が相次ぎ、2002年7月の販売開始後、05年4月末現在607人もの死亡者を生み出しました。昨年末12月17日、米・FDA・食品医薬品局が「イレッサは延命効果がない」と声明文を発表、市場からの回収も検討という驚くべきニュースが流されました。このアメリカFDAの発表を受けて、英国アストラゼネカ社は、ヨーロッパ各国でのイレッサの承認申請を取り下げ、また、6月18日・FDA(アメリカ食品医薬品局)は、アメリカ国内ではイレッサの新規患者投与の禁止を通達しました。
 この対応からもイレッサが欠陥商品であることは明らかですが、イレッサをどの国より一番早く承認した日本での対応はというと、厚労省が多くの専門家を集めてイレッサ検討会を続けて4回開いて審議しましたが、・・証明は出来ないが現場では効いてる患者もいるらしい、患者のQOLを高める役割には必要な薬であるとして使用の継続を決定。安易な決定と無知識な使用などから患者の命は危険に晒され被害は拡大。・・04年11月提訴された本訴訟は、この責任を問い、医薬品における製造物責任法における欠陥とは何かを問う訴訟です。
裁判前に、霞ヶ関・東京地方裁判所前付近におきまして宣伝行動をおこないました。
薬害肝炎訴訟の九州の原告さん、九州大学の学生さん、早稲田大学・現代司法研究会と憲法会議の学生の皆さん、弁護士の方々、薬剤師の皆さん、傍聴に来て頂いた支援の方たち、総勢15人ほどで、「がん患者の命の重さ」のオレンジ色のタスキをかけて、被害の実態と訴訟に至る経緯を記したチラシ500枚ほどを配りました。チラシを受け取って頂いたたくさんの皆さま、有難うございました。
●今回の裁判は
 この日の法廷は、103号大法廷で午後1時30分開廷で、まず裁判長より原告側、被告側の提出書類の確認がありました。続いて、原告訴訟代理人弁護士から意見陳述を行いました。
●原告訴訟代理人木下正一郎弁護士の意見陳述
@一般毒性試験(動物実験)におけるイレッサの肺毒性の所見。
A臨床試験及び臨床試験外使用における間質性肺炎の副作用症例。
B全例調査の条件を欠くイレッサには指示に関する欠陥が存在する。について意見陳述。
原告訴訟代理人 木下正一郎弁護士

●原告訴訟代理人 藤田 陽子弁護士の意見陳述
指示・警告上の欠陥
@医薬品の添付文書に記載すべき内容について。
Aイレッサの添付文書における記載の府存在。について意見陳述。
原告訴訟代理人 藤田 陽子弁護士

原告訴訟代理人 西田 穣弁護士の意見陳述
抗がん剤であるイレッサの服用により、間質性肺炎を引き起こし、結果・死亡するに至った被害者とそれぞれの患者たちが蒙った損害の内容を明らかにすることを目的とした意見陳述を行いました。
原告訴訟代理人 西田 穣弁護士
●原告訴訟代理人 岡村 実弁護士の意見陳述
イレッサの承認の関係で、特に重要な臨床試験「INTACT」との関連について意見陳述を行いました。
原告訴訟代理人 岡村 実弁護士

原告訴訟代理人 小池 純一弁護士より東京地方裁判所に対して検証申立を行いました。
その内容は、西日本訴訟で提訴している、三重県四日市の原告、清水さんの裁判が来年2006年1月11日午後1時15分から開かれ、この裁判で清水さんの本人尋問が行われるので是非、尋問に立ち会って頂きたいと申立を行いました。イレッサによる重篤な肺障害の副作用被害に遭いながらも、奇跡的に回復して、今も元気に頑張っておられると言う、数少ない生存者として貴重な実体験を聞くことは、イレッサの副作用被害の実態解明にもなるものと、このような意味から検証の申立を行いました。
この後、裁判所側より、原告、被告への提出書類や、進行協議の確認、次回裁判期日・2006年1月18日午後1時30分・法廷番号103号の大法廷と裁判長より示されて、時間にして1時間10分ほどでこの日の裁判は終わりました。

ちょっとひと言・・
 裁判と言うと、想像するのはテレビドラマ等でよく見かける本人尋問や証人尋問で、時には激しくやり合ったり、検事さんや弁護士さんが厳しく追求する場面などよく見かけますよね。

このイレッサの裁判は、民事の損害賠償請求訴訟ですから検事さんはいません。傍聴席から正面に裁判官(裁判長と右陪席、左陪席)で、中央に証言台、左側に原告側の訴訟代理人の弁護士さんと原告。右側に被告代理人の弁護士さんが座って、裁判は進められます。

まず、原告側、被告側で揃えるだけの証拠書類などを裁判所に提出して、提出された書証の意見陳述を行って参ります。この意見陳述は傍聴に来られている人達に、行われている裁判がどのようなものかを、分かり易く理解して貰うためでもあります。

このイレッサの裁判も、原告訴訟代理人によって、これまで1年を掛けてさまざまに重要な意見陳述が行われてまいりました。原告本人尋問や証人を招いての尋問までにはまだ少し時間が掛かります。提出証拠や書証を元に、原告に対する本人尋問や必要に応じて証人尋問などがこれから行われて行く予定です。ご注目下さい。
 

・・ お問い合わせ ・・
イレッサ薬害被害者の会
代表・近澤 昭雄
電話・048-653-3998
FAX・048-651-8043
mail: iressa-higainokai@nifty.com
薬害イレッサ訴訟東日本弁護団
豊島区西池袋1-17-10
池袋プラザビル6階
城北法律事務所
電話・03-3988-4866
FAX・03-3986-9018
事務局長・弁護士 阿 部 哲 二


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