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 薬害イレッサ裁判報告
・・ご支援のお礼・・
2004年の提訴以来、変わらず温かなご支援を頂きました大勢の皆さまに心からお礼を申し上げます。皆さまのご支援のお陰でこの日の結審を迎えることが出来ました。しかしまだ最終判決が出されたわけではありませんので、原告一同引き続き頑張って行動して参ります。
 今後とも宜しくお願い申し上げます。
薬害イレッサ東日本訴訟は、2004年11月25日に東京地方裁判所に訴状を提出して、第一回の裁判が開かれたのは,2005年2月16日です。以後6年間に渡り実に27回もの裁判が東京地裁で開かれ審理が重ねられ漸く、本日(2010年8月25日<水>)、午後1時15分より103号大法廷において最終弁論が行われ、そして結審を迎えました。
「判決日は追って通知します」とされてこの日は申し渡しがありませんでしたが、先に結審を迎えました西日本訴訟の判決日は、来年、2011年2月25日と決定しておりますので、これより後、桜の咲く頃までには判決が出されるものと予想しているところです。
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●薬害イレッサ訴訟とは
販売開始から僅か2年5ヵ月で、副作用の間質性肺炎による死亡が557人にも上り,2010年3月末時点の死亡患者数は810人と厚労省に報告されるという,日本で起こされた薬害被害の中でも最大の死亡被害に拡大しています。
・・2002年7月〜12月までの死亡報告数180人
・・2003年の死亡報告数202人
・・2004年の死亡報告数175人
上記の通り,特に,発売から2年半に被害は集中している点が特徴ですが,このことは,未解明な薬を副作用の無い夢の新薬として異常な早さで世に出してしまった事が根本の原因ですが,被害が発生した後の,国の対策の遅れ,製薬会社の被害状況の情報の隠蔽が被害を拡大させました。特にアストラゼネカ社は,「がん患者の命は人の命にあらず」とも言わんかのように,抗がん剤治療にはある程度の死亡は仕方がない,日本では許容の範囲で許されていると裁判の意見陳述で主張,公言憚りません。
仮説を検証するために行われる研究目的の治験が、患者に最大限の利益を提供するべく行われる治療と混同されてしまう。風邪をひいた人を2群に分けて片方には解熱剤を、片方はイチゴを食べさせて7日後に双方解熱していた。解熱作用に有意差は無かった。イチゴは解熱剤だ・・とこのような製薬会社の主張は,どうみても,どう考えても無茶苦茶です!。また,がん患者をモルモットとしか見ない,このようなことが許されて良い筈はないと,承認した国と販売会社のアストラゼネカ社を訴えている訴訟です。
◆製薬会社のアストラゼネカ社に対しては・・
治験の段階から,副作用である間質性肺炎で死亡している症例があることを隠して承認を受けたこと。
承認される前の治験の段階から,多くの専門家を使って大々的に宣伝を行って効果を謳い,「夢のような新薬で、延命効果は素晴らしく,副作用は殆ど無い薬」などの情報を流して患者たちを信じ込ませ,使用へと誘導し多くの死亡被害者を出したこと。
◆国に対しては・・
重篤な副作用被害が起きていたことを示す海外からのデータが出されていたのに,審査センターでは「症例の集積をまって検討」と,このデータを無視して承認。多数の死亡者を出したことなど。
東日本訴訟原告の一人,近澤昭雄さん。東京・霞ヶ関の裁判所前において多くの支援者と共に,結審に向けた思いと,イレッサ訴訟に対するご支援ご理解を訴えました。
●裁判開始前に宣伝行動を行いました
裁判開始前・11時40より地裁前で訴えました。
多くの支援の皆さま
京・大阪から駆けつけた薬被連の団体の皆様
医療関係者の皆さま
公害被害者総行動の皆さま
各・大学の薬学や医学の学生の皆さん
大勢が参加しました
薬剤師の皆さんや,支援をしていただいている各団体からもたくさんの皆さんに参加して頂きました。
公害被害者の団体からも,私たちの訴訟へご支援をいただいて,今回もたくさんのみなさんに参加をして頂きました。
行動に参加した学生さんが・・
家族が,がんになって初めて分かりました。
一か八かの治療なんてありえません。
患者の命を粗末にするアストラゼネカの態度は許せませんと,行動の仲間に加わってチラシを配って頂きました。
たくさんの支援の皆様に囲まれ,支えられ
東京地裁へ入廷しました

法廷では
意見陳述をいたします

苦しんで亡くなった多くの被害者の思いを胸に
がんに負けないと,強く戦い続けた
娘・三津子の笑顔を思い出しながら
陳述したいとの思いを胸に入廷しました

●裁判報告
原告・近澤昭雄意見陳述
午後1時15分開廷,原告・近澤昭雄の意見陳述から最終弁論は始まりました。
出頭出来なかった二人の原告の思いも込めて,傍聴の皆さんすべてに聞こえるように,悔しい思いが少しでも伝わるように,被害者の思いが裁判所に届くように,ゆっくりと大きな声で陳述を行いました。
原告側訴訟代理人によるプレゼン
原告側代理人によるプレゼンは,二か所のスクリーン画面に大きく映し出しながら,これまで原告側が証拠として提出してきたさまざまな書証や証人尋問で得られた多くの証言を基に,4点に絞って行われました。
イレッサの危険性と被告会社の責任。
イレッサの危険性と被告・国の責任。
イレッサの有効性と被告・国,被告会社の責任。
承認後の被告・国,被告会社の責任。
原告側訴訟代理人 鈴木利廣弁護士による意見陳述
原告側訴訟代理人 阿部哲二弁護士による意見陳述
原告側の弁論の最後に,薬害C型肝炎訴訟の弁護団長で,薬害イレッサ訴訟の代理人でもある鈴木利廣弁護士と,薬害イレッサ東日本訴訟の弁護団事務局長の阿部哲二弁護士,お二人による最終の意見陳述が行われました。
■被告側によるプレゼンテーション
◆被告・国のプレゼン・・
国のプレゼンでは,これまで国が主張してきたことをここでも繰り返し述べ,イレッサ承認時,承認後における過失は全くなかったと主張。緊急安全情報についても,死亡例が数例確認されたので早い対応を行っている。被害が拡大したことについても,各・医療現場で適切に対応するべき問題であって国の責任ではないと主張。
◆被告・アストラゼネカ社のプレゼン・・
アストラゼネカ社は,臨床の段階から間質性肺炎が現れることは理解して,販売当初の添付文書にも中ほどではあるが間質性の肺炎の発症の危険性は指摘している。使用する現場の医師は当然この添付文書の記載は総て注意してみるのが当然で義務を怠ってはいないと主張。
原告側が主張する,販売開始前から専門医を使った誇大な広告宣伝の問題は,あくまでも学術の対談であり宣伝行為ではないと繰り返し主張。
医師や一部の患者まで取り込んで,副作用のない延命の効果が大きな夢のような新薬と言った情報を販売当初から流布させ,多くの患者を誤った使用へと故意に導いた宣伝問題では,医療の現場や,多くの患者たちが一刻も早く使用したいとの要望が強かったのであって,抗がん剤の使用上における害作用は充分に主治医より説明がなされて患者は承知して使用するものであって,製薬会社の責任は何もないと主張。
弁論の最後に,このイレッサはがん治療には欠くことのできない大切な薬で,多くの患者が余命少ないと言われていた命を多少でも延ばし,イレッサに感謝しながら満足して皆亡くなっている。多くの患者のQOLを高める意味でも必要な薬剤であると主張。
また,死亡被害が販売開始2年半に集中拡大して,557人にも上っていることについて,「育薬」のための必要害であると驚くべき主張がなされました。アストラゼネカの言い分はこうです・・「薬とはすべて副作用は避けられないもの,特に抗がん剤などではある程度の死亡被害は避けられないもので薬を開発し多くの人に役立つまでに育つ,これが育薬というものでその過程での被害は仕方がないのです」,とアストラゼネカ社代理人は述べました。
これを以って最終弁論が終わりました。
裁判長より,「これですべての審理を終わります。結審日は追って通知します。」、と述べられて,薬害イレッサ訴訟の東京地方裁判所に於ける審理は終了,結審されました。


●記者会見・・裁判終了後、司法記者クラブにおいて会見を開きました。
裁判を傍聴した記者の皆さんより多くの質問を受けました。明けて
翌日の新聞に被害の悲惨さが大きく掲載されました。
●報告集会が開かれました
裁判終了後、17:20〜裁判所に隣接の弁護士会館1003号室において報告集会が開かれ100人近い参加者で会場は溢れ、参加の皆さまから多くの質問や励ましをいただきました。
お昼前の宣伝行動から裁判傍聴と、お疲れのところを報告集会までご参加を頂き、真に有難うございました。
歩きつづけて
私たちは、抗がん剤の副作用による死亡被害について訴訟を行っていると言う事で、中々に理解が得られません。この訴訟は、イレッサを市場から無くそうとの目的のものとか、抗がん剤の早期承認を阻むとんでもない訴訟原告たちであるとか言われ続けて、多くのバッシング、非難などを受け続けて参りました。
厚生労働省はもとより日本肺がん学会や、国立がん研究センター、日本医学会も、日本臨床腫瘍学会も、この訴訟を続けると日本の抗癌剤治療は委縮すると声明をだして、被害の実態を無視しつづけました。

あのお医者さんのブログも
あの研修医の方のブログも
がん患者会と称する多くのブログでも、とんでもない原告たちと叩く...。
数え上げればきりがありません。
しかし、私たちは個々に反論をすることはしないと決めて、このホームページでのみ考えを主張し、この悲惨なイレッサの被害について、安易な使用への注意喚起を続けてまいりました。
でも...
心無い、真夜中のバカヤロー電話にはさすがに凹みます。
コンビニから発信される抗議のファツクス、封書に同封されていた亡くなられた数枚の写真。
宅配で送られてくる汚物なども気重になりました。.
事前の連絡もなく、突然自宅に押し掛けてくる心無い一部のジャーナリストと称する方による取材の申込。
お断りをすると、・・ではこちらで勝手に書きますけど良いですか・・と、まるで脅迫。
また、あるテレビ局によるイレッサの被害についての取材申込に、少しでもこの被害を知ってほしいとの思いで引き受けると、・・・放映された内容は、「この薬でこんなに効いている患者がいると、使用して効果が得られたとする患者を映し出し、対比させて、これは薬害なのだろうか、これを薬害として訴訟することは使用したいと願う患者や使用中の患者に不利益がでることを配慮する必要があるのではないか。」、とイレッサ訴訟への疑問を主張し製薬会社よりの制作内容を放映・・など。
何度も、何度でも、この手の非難は繰り返されて、しかし、どこにも、だれにも相談できず、じっと、じっと、我慢して耐えるしか術がない。
何年も、何年も、こんなことが続いて.....、これって、嫌がらせなんかじゃないよ、暴力だぁー。(心の中で叫ぶ)
そういえばこの所、バカヤロー電話も抗議メールも少なくなっきました。(真夜中に鳴り響く電話の音は心臓に悪い。しかし、その対処法は電話機に毛布でも被せておけば....と、ある弁護士さんの回答。(一時しのぎしか方法はないようで・・。)
あんな事やこんな事,
いろんな事があった6年間でした。
やっと結審のこの日まで辿りつきました。
長い道のりでした。

お問い合わせ
イレッサ薬害被害者の会
代表 近澤 昭雄

電話:048-653-3998
FAX:048-651-8043
mail: iressa-higainokai@nifty.com
薬害イレッサ東日本訴訟弁護団
城北法律事務所
弁護団事務局長・弁護士 阿部 哲二
弁護士 津田 二郎
担当事務員 新 庄  聖
東京都豊島区西池袋1-17-10
エキニア池袋6階
電話:03-3988-4866
FAX:03-3986-9018
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