HOME > 裁判関連資料 > 薬害イレッサ東日本訴訟資料 > 東日本訴訟・裁判のお知らせと裁判報告 > 東京地裁第23回裁判報告
薬害イレッサ東日本訴訟

 薬害イレッサ訴訟は、東日本訴訟は東京地裁で、西日本訴訟は大阪地裁と、二つの裁判所で審理が続けられています。東日本訴訟(東京地裁民事第24部)は、第一回裁判が2005年2月16日に開かれて以降、今回期日で23回目を迎えます。裁判は、昨年(07年2月7日)より始まりました証人尋問が今年も続き、専門家の皆さまに出廷していただき審理を尽くしていただきました。来年からはいよいよ、原告本人尋問が始まり、「癌患者の命の重さ」を問うイレッサ訴訟も大詰めを迎えます。
 今後ともご理解の上、ご注目いただきますよう宜しくお願い申しあげます。
本日の裁判報告は、前半を、東日本訴訟の追加提訴原告の報告、そして後半で、
この一年間の活動を簡単ですが振り返って掲載いたします。
12:30〜裁判開始前の抗議行動
霞ヶ関の厚生労働省前で支援のみなさんや弁護団と共にチラシを配って被害の実態を訴えました。
厚労省に向かって、抗がん剤医療の改革と被害患者への謝罪を求め訴えました。千代田区労協より街宣車も応援に駆けつけてくれました。

裁判終了後の報告集会。東京地裁に隣接した弁護士会館10階で報告集会が開かれました。

午後3時30分〜JR御茶ノ水駅前。
JR御茶ノ水駅前でこの日、2度目の宣伝活動を行いました。
裁判報告・・・今回の裁判は、追加提訴原告による意見陳述が行われました。
東京地方裁判所103号大法廷において、約70名ほどの傍聴の皆さんが見守る中、午後1時30分開廷されました。
まず、原告側、被告側の提出書証の確認が裁判所より行われ、つづいて追加提訴原告(神奈川県在住の女性<43歳>・2008年9月3日提訴)の意見陳述が行われました。
今回、追加提訴されたこの女性のお父さんがイレッサを服用して間質性肺炎による副作用被害で亡くなったのは2002年10月です。発売直後ということで、「夢のような薬・延命の効果は高い素晴らしい新薬」という情報を信じて生き続けたい思いで服用しましたが、予想もしない副作用の間質性肺炎の副作用被害に遭い亡くなったという方です。
この方のお父さんが亡くなって既に5年が経過した今、何故提訴を決意されたのかについて・・・、何とか生き続けたい思いで、当時出されていた情報を信じて服用しただけなのに、服用した患者の責任だと言われたり、仕方のない死であると言われたり、訴えている原告たちが余りにも多くのバッシングを受けていることを知り、憤りと疑問を感じ、また、こんなにも多くの被害者を出してもなお、一部には効果があるとして被害の検証もせずに販売し続けている国と製薬会社に対しての怒りが提訴する決意となった。と陳述されました。
陳述の時間は10ほどと短いものでしたが、はっきりと法廷の隅まで通る声で被害の実態と被害者に対する謝罪を訴え、この日の裁判は終わりました。
裁判後に報告集会が開かれました
裁判が終わって・・・午後2時30分より東京地裁に隣接の弁護士会館10階において報告集会が開かれました。この報告集会にもたくさんの皆さんに参加して頂きました。医療関係者のみなさん、法科大学の学生の皆さん、各団体の皆さん等に参加して頂きたくさんの励まし、温かいメッセージをいただきました。有難うございました。
記者会見を行いました
報告集会の後、原告と弁護団は東京地裁2階の記者室で記者レクを行いました。イレッサの死亡被害について今回追加提訴された方は、「過大な効果情報で服用し死亡した被害について責任を問う為に行動を起こしました。過失を認め被害患者に対して謝罪をして欲しい。そしてこれから服用する患者が安心できる対応を早く取って欲しい」と訴えました。
私たちの主張と願い
1000人近くの患者が死亡しているという事実があっても尚、死亡患者のことを論じるより、誰かには効くかもしれない・効いていると思われる患者がいることが重要大切で、死亡被害を言い過ぎると、それは抗癌剤治療の萎縮に繋がる恐れもあり好ましいと言えないと、問題を摩り替え議論されています。
各・テレビや新聞等でも、イレッサに関する被害の情報を掲載したり放映すると、使用している患者のことは何も考えないのかと猛烈な抗議を受け、掲載・放映中止の要望が殺到すると聞いています。勿論、私たち被害者の会にも同様の苦情・嫌がらせなどバッシングが多く入ってまいります。これらの抗議には作為が感じられるものも多くあります。
肺ガン患者の治療上の副作用による死亡は、いずれは亡くなる命で仕方のない死だ!、抗議すれば医師が抗癌剤治療をやらなくなる恐れもある!、当時の抗癌剤治療では仕方がなかった筈! 等と多くの非難を受けてきました。
この非難の中には、抗癌剤治療とはこんなものなのだ・・といった、日本で行われてきた抗癌剤治療の弊害が大きく横たわっています。
仕方がないのだ!。
みんな我慢してきたのだ!・・・と。
そして、漸く、待ちに待った夢の新薬、画期的新薬とされた分子標的薬「イレッサ」が登場しましたが、販売開始直後から副作用による死亡が多発する事態となりました。この原因の一部として、承認前から効果のみの宣伝を繰り広げ、副作用が軽いとして医師の管理が行き届かない自宅服用を奨励したことで被害拡大へと繋がりました。しかし尚、一部には劇的に効いている患者がいるのだから犠牲は仕方がないと主張する者も多くいて、まるでロシアンルーレットか、人柱的乱暴な発想で、患者に受忍を求めています。
適応外も含めたこのような安易な処方で良いのでしょうか。
自分の事として、最愛の家族の事として考えてください。
リスクも、ベネフィットも知らされた中で、医師の管理の下での抗癌剤治療を私たちは望んでいます。
疑問だらけの抗がん剤医療を、患者が納得できる抗がん剤医療に変えなければと、今、改革に向かって走り出しました。皆さまのご理解をお願い致します。

● 今年1年の活動を振り返ってみました ●
2008年1月31日
東京地方裁判所103号法廷で薬害イレッサ東日本訴訟の第18回期日裁判が開かれました。被告側証人として出廷している国立ガンセンター東病院副院長で日本臨床腫瘍学会理事長の西條長宏医師は、効果安全委員としてイレッサの開発に深くかかわり、イレッサ(ゲフィチニブ)適正使用委員やイレッサ使用のガイドライン作成委員の委員長を努めた医師です。
この裁判では、原告側代理人による反対尋問が行なわれました。
2008年2月7日
マンスリ行動・第一弾早朝宣伝・・第一回目の今日は午前8時30分より厚生労働省前に支援の会の皆さん、弁護団、原告らが集まってチラシを配りマイクを使って訴えました。
本当に寒い中での早朝の行動でしたが、たくさんの支援の皆さんに参加して頂きました。

2008年3月6日
マンスリ行動・第2弾宣伝を東京・銀座マリオン前で行いました。・・第2回目のこの宣伝行動、午後6時より多くの支援者や弁護団、原告など30人が参加してチラシを配ったり署名のお願い、マイクで被害の実態を訴えるなど支援とご理解をお願いしました。
2008年6月10日
薬害イレッサ東日本訴訟第20回裁判が東京地裁103号大法廷において開かれました。この裁判では、被告側の証人の坪井正博医師(東京医科大学付属病院)に対する原告側の反対尋問が70人程の傍聴人の中、行われました。

2008年7月3日
マンスリー行動が行われました。今回は、アストラゼネカ東京支社(東京・文京区後楽)前で午後5時から約一時間を支援の皆さんや弁護団30人ほどでイレッサ薬害被害の実態を訴えるチラシを通行の皆様に配りました。
2008年7月25日
薬害イレッサ東日本訴訟第21回裁判が東京地裁103号大法廷において(10:30〜16:30)開かれました。この裁判では、被告側の証人の工藤翔二医師(元・東京医科大学教授・・現・財団法人結核予防会複十字病院院長)に対する被告側の反対尋問が行われました。
2008年8月22日
第9回薬害根絶デーが開催されました。この日は、約200人の薬害被害者や支援する学生の皆さんや医療関係者の方たちが厚生労働省前に集まり、薬害の根絶を訴えパレードや集会などを行いました。

2008年9月4日
マンスリ行動、今回はアストラゼネカ東京支社前において行いました。午前8時30分より一時間、支援者のみなさんや弁護団、原告ら21人がチラシを配り声を上げて訴えました。
2008年9月30日
薬害イレッサ東日本訴訟第22回裁判が東京地裁103号大法廷において開かれました。この日は、台風の影響で小雨の降り続く中を多くの支援の皆さんと共に裁判所前でチラシを配り訴訟への理解と支援を訴える宣伝行動を行いました。 この日の裁判は、被告側の証人の工藤翔二医師(元・東京医科大学教授・・現・財団法人結核予防会複十字病院院長)に対する原告側の反対尋問で、午前10時〜午後5時まで行われました。
2008年10月16日
マンスリ行動を行いました。今回も東京・水道橋駅近くの、アストラゼネカ東京支社前において午前8時30分より約1時間行いました。早朝からの行動にもかかわらず25人もの支援の皆さんや弁護団に参加して頂き抗議の訴えやチラシ配りを行いました。
今回は、支援の方達と原告の近澤は18階にあるアストラゼネカ東京支社に出向いて、申し入れ書を提出しました。
2008年11月4日
薬害イレッサ訴訟 板橋支援連絡会(東京) は、この日午後5時30分より15名ほどの支援者や弁護団、原告が参加して、東京・板橋区の常盤台駅前(東上線)においてチラシ配り、署名活動などを行いイレッサ訴訟のご理解と支援のお願いを致しました。
2008年11月10日
裁判開始前、厚労省前で抗議行動を行いました。その後、東京地方裁判所103号大法廷において、第23回の期日が開かれ、追加提訴原告(神奈川県在住の女性<43歳>の方のの意見陳述が行われました。裁判の後・弁護士会館において報告集会が開かれ、終了後、支援の皆さんとJR御茶ノ水駅前に移動してご理解を訴える行動を行いました。
今年も、多くの皆さまに支えられ共に活動できましたことを何よりも有難くお礼申し上げます。
この一年間のご支援本当にありがとうございました。
◆次回(2009年)の裁判期日◆
東日本訴訟(東京地方裁判所)
2月23日(月)午後2時〜午後5時
東京地方裁判所 103号大法廷
3月3日(火)午前10時30分〜午後5時
東京地方裁判所103号大法廷
西日本訴訟(大阪地方裁判所)
◆2月16日(月) 午後1時15分〜4時
大阪地方裁判所 202号法廷
◆2月27日(火) 午後1時15分〜4時
大阪地方裁判所 202号法廷
・・ お問い合わせ ・・
イレッサ薬害被害者の会
代表・・近澤 昭雄
電話・048-653-3998
FAX・048-651-8043
mail: iressa-higainokai@nifty.com
薬害イレッサ訴訟東日本弁護団
豊島区西池袋1-17-10
池袋プラザビル6階
城北法律事務所
電話・03-3988-4866
FAX・03-3986-9018
事務局長・弁護士 阿 部 哲 二


次回東日本訴訟・第24回(2009年2月23日)裁判報告