今回の裁判は、東京地裁103号法廷で午前10時開廷されました。 |
103号法廷は、東京地裁の中で4つある大法廷のその一つで、傍聴席は97席になります。裁判は、予約なしでどなたでも傍聴が可能です。(傍聴席の抽選がある時を除いて)、民事裁判、刑事裁判、同様に節目節目の期日(第1回目の裁判だったり、結審や判決日)など社会的に大きな反響の場合等では、冒頭メディアのテレビカメラが入ることがあり、そのカメラ撮影が行われるときは、傍聴席の一部(大体、10席程度)になりますが記者席が用意されることがあります。今回の裁判では、冒頭のテレビ撮影も記者席の確保もありませんでしたので97席すべて一般の傍聴席となりました。裁判を傍聴してみたいとお考えの皆さまにご参考までに、傍聴について少し説明させていただきました。 |
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お話を私たちの裁判に戻します。・・・午前10時、傍聴人が起立する中、右陪席と左陪席、そして裁判長が入廷、書記官より、礼・の声、そして裁判は始まりました。まず、提出書証の確認、そして本日、予定されている、坪井正博医師 (東京医科大学医学部准教授)が正面の証言台に座り宣誓書を読まれて、原告側代理人による反対尋問がスタートしました。 |
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● 坪井正博医師 (東京医科大学医学部准教授) に対する、原告側代理人の尋問 ● |
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●この日の原告側代理人による反対尋問は |
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アストラゼネカ社との経済的関係について (坪井医師個人に対するアストラゼネカ社からの報酬について |
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坪井医師が勤務する東京医科大学病院外科第一講座に対するアストラゼネカ社から奨学寄附金の交付状況について |
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東京医科大学病院に対するアストラゼネカ社からのイレッサに関する受託研究費の交付について |
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坪井医師のイレッサ臨床試験への関与とその役割責任について |
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イレッサの副作用・使用への同意書について |
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有用性、有効性等について |
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原告側代理人より反対尋問が行われました。 |
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◆アストラゼネカ社との経済的関係については |
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a) |
京医科大学病院外科第一講座に対するアストラゼネカ社から奨学寄附金の交付状況については、把握する立場ではないので分からないと証言。 |
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b) |
技術指導料を受け取っているがこれらを国に対して申告する事は別に求められていないので行っていない。 |
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c) |
日本肺がん学会が作成したゲフィチニブ(イレッサ)使用に関するガイドラインの作成に、坪井医師は関わっていたかとの尋問に、⇒ガイドラインの作成には関わっていないと証言。 |
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d) |
日本肺がん学会へのアストラゼネカ社からの寄付についての質問に、坪井証人は、⇒まったく知らない、決算報告書すら見ていないと証言。 |
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e) |
アストラゼネカ社より坪井医師個人に対して500万円以上もの寄付を受けているがこれは間違いないか、との尋問に・・・坪井医師は、⇒はいと証言。 |
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◆副作用等についての尋問では |
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a) |
イレッサの国内承認までに、海外で96例の副作用報告があったことは知っていたのかの尋問に・・・坪井証人は、⇒知っていたと証言。 |
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b) |
2003年5月にイレッサ使用同意書の記載が変更されたことについての質問に・・・坪井証人は、⇒このことは国の方針、アストラゼネカ社の対応として変わったのではないかと考えていると証言。 |
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◆イレッサの有用性・有効性についての尋問では |
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a) |
新ガイドラインでは、延命・有効性が証明されなかった場合は承認されないとあるが、との尋問に・・・坪井証人は、⇒特異な効果があれば承認されるべきと思うと証言。 |
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今回の証人である坪井医師に対し原告側代理人は、アストラゼネカ社との経済的利益について予め書面で質問を行っておりましたが、以下のように回答がありました。 |
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(1) |
坪井医師個人に対するアストラゼネカ社からの報酬について
◆ 2001年から2007年までの期間、年間数十万円を受領。
◆ 2002年と2003年は100万円を超えて受領。 |
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(2) |
東京医科大学病院外科第一講座に対するアストラゼネカ社からの奨学寄附金の交付について
◆ 2002年、500万円
◆ 2003年、500万円 交付を受けている。 |
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(3) |
東京医科大学病院に対するアストラゼネカからのイレッサに関する受託研究費の交付について
◆ V15−31試験(契約症例数12例) 2002年8月〜2003年4月 ( 259万2000円受託 )
◆ V15−32試験 (契約症例数24例) 2003年9月〜2006年10月( 529万9200円受託 )
◆ V15−33試験 (契約症例数76例) 2003年11月〜2006年10月(1198万3500円受託 )
◆ IPASS試験 (契約症例数8例) 2006年4月( 161万2800円受託 ) |
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◇裁判後記 |
今回私は、原告席を離れて、一般傍聴席前列に座って裁判の成り行きを見つめました。
この裁判では、摩訶不思議なことがしばしば行われて原告である私は戸惑いを感じることがありますが、今回もやはり、異次元の世界でも見るような不思議な思いに捉われました。それは、国の姿勢に、製薬会社のアストラゼネカ社に、被告側証人の証言の中に、この被害の事の重大さをまったく認識・把握していないということです。命の大切さが欠落しているように感じるのです。 |
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何故、このように大きな被害が出たのかについては検証・審査の必要はないとして、このイレッサの有効性と有用性にのみ必死になって証明しようとする姿勢には、ただ呆れるとしか言いようがありません。 |
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2002年7月の販売開始から6年で死亡報告が732人も出ているのに尚、夢の薬と信じている人達がたくさんいます。 |
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こんなにも多くの被害を出しても、未だに多くの医療現場では、素晴らしい効果を表す薬剤として重篤な副作用が現れることを過小説明し、患者への使用を強く奨め・・副作用で死亡すると、患者が希望したから自己責任であると処理されている現実があります。 |
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私たちは、この薬の被害の実態を審理して欲しいと提訴致しました。
たとえ、1000人に効果があったとしても、1000人近くが死亡している現実を理解して、今後の抗がん剤治療に生かす裁判を求めています。・・・<近澤> |
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