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薬害イレッサ東日本訴訟


■裁判所前での朝宣伝

◇次回以降の裁判期日◇
◆東日本訴訟(東京地裁)・・3月21日(金)
11時00分〜16:00・103号法廷
この裁判では,被告側証人として出廷する,坪井正博医師(東京医科大学医学部医学科准教授)に対する被告側主尋問です。

◆西日本訴訟(大阪地裁)・・2月20日(水)
午前10:00〜17:00 202号法廷。この裁判では被告側証人として出廷する光富徹哉・愛知県ガンセンター医師に対する原告側の反対尋問が行なわれます。

●お問合せ●
イレッサ薬害被害者の会
代表・・近澤 昭雄
電話:048-653-3998
FAX:048-651-8043
mail:iressa-higainokai@nifty.com

薬害イレッサ東日本訴訟弁護団
城北法律事務所
弁護団事務局長・弁護士 阿部哲二
東京都豊島区西池袋1-17-1
池袋プラザビル6階
電話・03-3998-4866
FAX・03-3986-9018

 1月31日・東京地方裁判所103号法廷で開かれた薬害イレッサ東日本訴訟、今回、被告側証人として出廷しました、国立ガンセンター東病院副院長で日本臨床腫瘍学会理事長の西條長宏医師は、効果安全委員としてイレッサの開発に深くかかわり、イレッサ(ゲフィチニブ)適正使用委員やイレッサ使用のガイドライン作成委員の委員長を努めた医師でもあります。
 この日の裁判は開始が午前10時から終了予定は午後5時と、長時間審理にもかかわらず傍聴席は満員で、国立ガンセンター東病院の副院長である西條医師がイレッサの副作用被害を、がん患者の命を守る立場からどのような証言をされるのかと各方面からも注目されました。
■薬害イレッサ訴訟とは
 2002年7月に日本で初めて承認・販売された抗がん剤によって副作用被害に遭った私たち被害者と遺族が,当時の誇大な広告宣伝に対する疑問,承認したことに対する疑問などについて起こした裁判です。生きたいための治療で,例え余命少ない命ではあっても,当時の誤った広告宣伝,効果を煽った販売方法,危険情報の不開示によって起こされた被害に対する訴えです。
 承認・販売される一年も前から,さまざまな方法を用いて著名な医師たちが効果を謳い「副作用が少なく,素晴らしい薬,延命の効果も大きく正に夢のような新薬」との情報を信じ,肺ガンの患者たちはいっきに使用した結果,販売から僅か二ヶ月後には多くの副作用による死亡が確認され被害は増大。この事実からアメリカでは新規の患者には使用禁止の措置が取られ,ヨーロッパでは製薬会社が販売のために出していた承認申請を自ら取り下げ現在もこの措置に変わりありません。しかし日本では,被害発生の後も使用制限など何の対策も取られないことで現在までに730人もの患者が亡くなっています。私たちは,軽々に扱われるガン患者の命の重さを訴え,被害遺族に対する損害賠償はもとよりですが、この訴訟を勝利することで,見捨てられるガン患者への医療改革を目指している訴訟です。
 被告側の証人として出廷している、西條長宏医師は、日本を代表するがん医療の権威として知られる人物です。ガン医療に関するさまざまな著書も多く、がんの患者たちの多くに信頼できる名医として伝わっている人でもあります。
 この医師が、今回・証人として証言をするということで、たくさんの医療関係者や医療界を目指す学生の方たち、西條医師を信じて傍聴に訪れた人たちなど多くが、がん患者と抗がん剤に関する問題をどのように話されるのか期待しながら証言席の西條医師に注目する中、午前10:00開廷しました。
 原告側反対尋問のトップバッターは、水口真寿美弁護士です。
静かな口調だが相手の心の中深く切り込まれると、立ち直ることは出来ないほどのダメージを与えるとの定評もあり、原告側としては頼もしいまさに切り込み隊長に相応しい弁護士が....静かに、淡々と西條医師に尋問を開始しました。
 水口弁護士が尋問を始めて10分位だったでしょうか、証人の西條医師が苛立ち始め、声を荒げ、怒鳴り声にも感じる不満をぶつけるようになりました。傍聴の皆は何が起きたのかと驚き、唖然としてしまいました。これまで幾度となく原告側、被告側の証人尋問は見てきましたが、今日の尋問もごく普通の尋問で、始まって直後と言うことで核心にもまだ触れていないのに、この証人の取り乱しの態は一体何に怯え苛立っていたのでしょう。
 傍聴席で見守る多くは、西條医師の醜態にあきれ果てたのは言うまでもありません。がん患者の立場に立って抗がん剤医療の発展と改革のために、自身が持たれている知識を証言していただけるものと思い、期待していたのが崩れてしまい残念と言う他ありません。薬害エイズ事件で、帝京大学副学長の安部英(たけし)教授が精神の錯乱をきたしたかのような態度を取り、ヒステリックに叫ぶ様を思い出してしまいました。
 これが西條医師の真の姿でしょうか。それとも、この被害事件の重大さに気付いて取り乱されたのでしょうか...
この驚くべき証言内容のいくつかをを以下に箇条書きにしてみました。
西條長宏医師に対する、原告側代理人・水口弁護士の尋問
・・ 原告側代理人・・一番確かなデータというのは、具体的にどのようなデータをいうのか。
a) 西條医師・・一概には言えない、国立ガンセンターのホームページに記載しているデータでも確かとは言えないのだから。
・・ 原告側代理人・・発売前から、対談や雑誌などでイレッサの効果を推奨しているのは医薬品の販売前には禁止されている広告・宣伝と思われる。又、講師料はどのようになっていたのか。
a) 西條医師・・質問の意図がわからない、講師料があったとしても金額は覚えていないが国家公務員法の規定にのって処理している。イレッサの発売前、推奨したかどうかは覚えていないが例えあったとしても当時はZD1839の治験名で話したことが一般の人たちにイレッサの事だと分かる筈がないではないか。
更に原告側代理人の厳しい追及が続くと...
a) 西條医師・・私が何故このような目に遭わねばならないのか。
と語気を荒げながら、私はこの裁判にボランティアとして出ている、こんな嫌な思いをするのならばもう出ない!!...。と裁判所と原告側弁護団に対して悲鳴に近い声で抗議をおこないました。
製薬企業との利益相反の質問には...
a) 西條医師・・企業からの金銭授受は決して悪いことではない。アメリカでは、企業との結びつきのない人は何も出来ない能力の無い人と評価されている。
以上、ほんの一部を紹介してみましたが、この件についてのコメントはいたしません。皆さまでご判断ください。
◇裁判後記
裁判が開始されて10分ほどでした。証言台に座る西條医師が、尋問内容の「利益相反」について、苛立ちをみせ始め、「私が何故このような目に遭わねばならないのか、私はこの裁判にボランティアとして出ている、こんな嫌な思いをするのならばもう出ない!!。」と悲鳴にも似た声を出し、語気も荒げはじめました。度々の投げやりとも取れる証言と語気を荒げ続ける証人の態度に何とも我慢できず、傍聴席前列に座っていた原告の近澤(私です・・すみません)は我慢の糸が切れてしまって・・つい..「何を言ってるんだ!!」と叫んでしまいました。・・・しかし、どのように酷い証人の態度とは言え、法廷での規律違反は許されるものではありません。
従いまして自ら退席いたしました。(近澤)

次回東日本訴訟・第20回(2008年6月10日)裁判報告