●裁判後記 |
「この余りにも虚しい尋問を聞いて」
この尋問の中で,アストラゼネカの代理人も、国側の代理人も副作用で死亡している767人の被害者については一言も触れませんでした。触れることが出来なかったのでしょう。このイレッサは,これまでの薬害訴訟とは異なって初めから製薬会社のアストラゼネカ社も国も、副作用による死亡を認めている点です。私達の訴えもこの副作用で死亡したことに対する損害の賠償を求めています。 |
販売直後から、安全で副作用が少なく効果が大きな画期的な新薬であり、患者たちが挙って飲みたい薬・・と近畿大の福岡教授、他著名な癌専門医の多くが推奨したこと等を患者たちは信じ服用した結果の被害です。当時・盛んに行われていたこのような広告宣伝を問うているのです。一方国側には、分子標的薬と言われる新薬で延命の効果が大きいとして承認した事に対して、どのようなデータをもって承認したのか、その責任の有無を問うているのです。 |
私達は難しい主張をしているのではありません。希望を持って治療に頑張っている多くのガン患者の薬を失くそうとしている訳ではありません。国も製薬会社のアストラゼネカも効果について示す事が出来ない、その上副作用による死亡は僅か4年で767人も出ている事を問題にしているのです。単に、効果がないとしても、適正な使用方法での被害であれば問題にしないのです。僅か4年足らずで767人という死亡が何故発生したのか大きさを問題にしているのです。真の自己責任・自己選択による服用であれば、それはある程度は仕方のない事として受け入れなければならないと理解しますが、このイレッサ被害の自己責任論が果たしてどこまで使用患者に求められるのか、納得しての服用なのかを疑問としています。 |
「これを飲まなければ余命の補償はありません。これを飲まなければ退院ということになります」等と言われ仕方なく飲んでいる患者が今も驚くほど多くいます。そして副作用に見舞われ死亡しても医師は何の責任も問われない。これが自己選択と言えるのでしょうか、納得しての服用として片付けられるのでしょうか。ガン患者の命はガン患者とその家族が守らないと見捨てられてしう、このような抗癌剤治療の考え方を危惧しています。 |
アストラゼネカの代理人も、国側の代理人も、一体この裁判で何を審理しようとしているのでしょうか。患者のためになる、不安に感じている多くの患者たちのために努力すべきところを、子供の喧嘩にも劣る、下らない口撃のみで何が生まれると言うのでしょう。『効いている患者がいれば700人死んでも800人死んでも仕方がない事だから文句を言うな』とでも言うのでしょうか。少しでも人間の心を持っているのなら、これからの抗がん剤治療の発展のために、そして被害に遭って亡くなった被害者の為に、この訴訟を通して変えていく努力は出来ないのでしょうか。 |
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私達の訴えをご理解下さい
私達は、イレッサと言う肺がん治療薬によって副作用被害にあったことに対して提訴しました。
イレッサの承認取り消しを求めて提訴したのではありません。しかし,審理の過程でイレッサに延命の効果はなかったとのデータが出てきた場合、また、死亡による被害が効果を上回るような事態がある場合は販売の見直しや規制を求めることも吝かではありません。 |
@販売前から行っていた宣伝広告によって患者たちは皆信じて服用した結果被害に遭った。この広告宣伝は違法でないのか。 |
A第2相試験の段階から副作用による被害報告が出ていたのにそれを無視して国はデータを隠蔽し承認した。違法ではないのか。 |
B副作用による死亡は製薬会社自ら認める所で、患者に対して謝罪と補償をすべきではないのか。また、今後抗がん剤によってこのような悲劇が起きないように抗がん剤による副作用の救済制度を早急に設けるべきである。と主張しています。 |
ガンという忌まわしい病に罹り必死に生きようと苦しい治療に挑み、思い半ばで苦しみながら亡くなって逝った家族を持つ私たちが、単に損害賠償のみで辛い戦いを続けているのではありません。
何卒私達の訴訟へのご理解をお願い致します。 |
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