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 薬害イレッサ東日本訴訟
●裁判開始前・・
「厚生労働省へ緊急の申し入れと署名の提出を行いました」

裁判開始前の11時、支援の会の皆さん、イレッサ薬害訴訟を支援する多くの学生の皆さん、原告、東西弁護団約20人は、厚生労働省に対して、イレッサ訴訟の早期解決を求める署名、9294筆を提出しました。同時に、裁判所に対しても一日も早い解決と被害に対する救済への要望を提出しました。
また、2月1日に公表された「イレッサの臨床試験結果」に関する問題で、イレッサ薬害被害者の会と、薬害イレッサ訴訟東西弁護団は、柳沢厚生労働大臣とアストラゼネカに対して緊急の申し入れ書を提出しました。
第V相比較臨床試験の結果公表に対する緊急申入れ
●「裁判開始前の街頭宣伝を行いました」
11:30分より、東京地方裁判所と厚生労働省前で二班に分かれ、この訴訟を提起した説明とご理解を記したチラシを配りました。街宣車のマイクからも被害の悲惨さと支援へのお願いを30人ほどの支援の皆さんと共に訴えました。この日は「肺がん患者の命の重さを問う」、とオレンジ色に鮮やかに染め抜いたノボり旗10本を支援の皆様より用意していただき、凍えるような寒さの中の訴えを盛り上げました。
●東京地方裁判所・103号法廷 13:30分開廷、裁判報告
原告側証人として出廷した、別府宏圀医師が証言台に立ち、「真実を述べ偽りのないことを誓います」と宣誓されてこの日の裁判はスタートしました。まず、原告側代理人の小池純一弁護士による主尋問で、イレッサの有効性と安全性について尋問、証人の別府宏圀先生は、イレッサは有効性と安全性をともに欠く薬であり、承認は誤りであったと明確に証言されました。
小池純一弁護士の、法廷内の隅々にまで透き通るはっきりとした質問に満員の傍聴席は聞き入りました。続いてこの後、15時40分より、原告訴訟代理人の岡村実弁護士の尋問と続きました。長い尋問にも関わらず、別府先生は、静かに一言、一言を明確に、傍聴席の誰にでも理解が出来るようにとの配慮と感じられるような丁寧で解りやすい証言でしたが、その一言一言には薬害に対する国や製薬会社への認識の甘さを、時折証言される言葉に怒りを厳しく表し述べておられるのを感じました。
16時20分、この日の裁判は閉廷しました。
この主尋問の詳細につきましては、原告側代理人の木下正一郎弁護士より報告を寄せて頂きましたのでご覧ください。
◆東日本訴訟・別府先生主尋問報告◆
薬害イレッサ訴訟東日本弁護団 弁護士・木下正一郎
 去る2007年2月7日より,ついに薬害イレッサ東日本訴訟でも証人尋問が始まりました!
 最初の証人は,原告側証人の別府宏圀先生です。この日は,原告代理人より主尋問が行われました。
 別府先生は,1986年に「医薬品・治療研究会」という組織を立ち上げて、「正しい治療と薬の情報」(TIP)という情報誌を発行してきて,精力的に医薬品の評価に関わる活動をされてこられた医師です。
別府先生は,イレッサは有効性と安全性をともに欠く薬であり,承認は誤りであったと明確に証言されました。
 まず,医薬品を評価するにあたっては,有効性については厳しい判断をする,安全性については,少しでも安全性を疑わせる情報が出たときには疑うことが重要であると証言されました。そして,抗がん剤の場合,通常の薬より一層慎重で科学的に厳密な検討が要求されると証言されました。
 イレッサについては,先日2月1日に,日本人を対象とする臨床試験で,既存の抗がん剤と比較して1年未満の生存率で劣る結果が出たことが発表されました。別府先生はこの点にも触れ,承認時点でも何ら有効性は明らかにされていなかったが,5度の臨床試験(2月1日発表が5度目です。)でいずれも延命効果が認められず,イレッサに延命効果が認められないことははっきりしていると証言されました。
 また,イレッサの安全性に関して,イレッサは承認前の動物実験結果,臨床試験・臨床試験外データから,重大な間質性肺炎を起こすことが明らかであったのであり,市販後の間質性肺炎の被害,調査結果によって明らかになった間質性肺炎の発症率からも,イレッサの危険性は明らかであると証言されました。
 さらに,承認前から危険性を示すデータがあったのであるから,間質性肺炎発症の危険性について添付文書に警告欄を設けて警告すべきであったこと,承認前からのイレッサについて副作用がほとんどなく効果のある新薬であるとの巧みな広告宣伝が行われていたことを指摘されました。
 最後に,今回の薬害イレッサについて,次のような警告を発せられました。承認前から,副作用がなくがんに効く夢の新薬が発売されるとの巧みな広告宣伝が行われ,患者がイレッサを使いたいと言うようにもっていった。このように患者を抱き込み,いわば患者を人質にとるような医薬品の販売方法がとられたのであり,今後も同様の薬害事件が起こると考えられる。その意味でこの問題は将来型薬害事件の最初の事件である。
 次回は,4月25日(水)午後1時30分より東京地方裁判所103号法廷で,被告側から反対尋問が行われます。
 被告らからの反対尋問に対しても揺るぎない別府先生の証言を聞くことができますので,是非傍聴にお越し下さい
◆次回以降の裁判期日◆
●東日本訴訟 (東京地方裁判所)
4月25日(水)午後1:30〜午後4時 東京地裁103号法廷。
別府宏圀医師への被告側の反対尋問。
5月23日(水)午後1:30〜 東京地裁 (法廷は未定)
原告側証人・京都大学 福島雅典教授への主尋問。訴訟
7月18日(水)午前10:20〜 この日は丸一日の予定です。
福島雅典教授への反対尋問・・浜六郎医師への主尋問訴訟
●西日本訴訟(大阪地方裁判所)
3月6日 13:15〜16:00 浜六郎医師への主尋問
5月11日 浜六郎医師への反対尋問 (午前10時開始)
 

・・ お問い合わせ ・・
イレッサ薬害被害者の会
代表・・近澤 昭雄

電話・048-653-3998
FAX・048-651-8043
mail: iressa-higainokai@nifty.com
薬害イレッサ訴訟東日本弁護団
豊島区西池袋1-17-10
池袋プラザビル6階
城北法律事務所
電話・03-3988-4866
FAX・03-3986-9018
事務局長・弁護士 阿 部 哲 二

次回東日本訴訟・第13回(2007年4月25日)裁判報告