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2004年11月25日、東京地裁に、新しい薬害訴訟・イレッサ薬害被害訴訟を提起しました。肺ガン治療薬イレッサの投与を受けて、間質性肺炎などの副作用によって死亡した被害者は、2004年12月末まで実588人に上っています(厚生労働省発表)。
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イレッサは、イギリスに本社をおく世界的な大企業アストラゼネカによって開発された肺ガン治療薬ですが、これが2002年7月5日厚労省によって輸入承認され、日本国内で販売されるにいたりました。この訴訟は、イレッサの輸入承認をした国(厚労省)と日本で販売をしたアストラゼネカの日本法人を相手どった、被害の救済を求める被害賠償請求訴訟(国家賠償訴訟)です。 |
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提訴の意義・目的 |
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(1)欠陥商品イレッサの責任を問う・・マスコミ等で「夢の新薬」などともてはやされたイレッサは、延命効果の確認もなく承認販売され、その後約2年足らずで444人もの死亡者を生み出しました。イレッサは他の抗がん剤に比しても高い副作用と死亡を招き、生存期間を短縮すらさせるという結果が出ています。抗がん剤であることを考慮に入れてもなおイレッサは欠陥商品と言わざるをえず、本件訴訟は、この責任を問い、医薬品における製造物責任法上の欠陥とは何かを問う訴訟です。 |
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(2)ガン患者の生命の重さを問う・・余命が一ヵ月、半年、一年と宣告されたガン患者にとって、一日一日の重さは計り知れない。その命を一ヵ月でも、半年でも、一年でも延ばそうと、つらい副作用をいとわず「くすり」に期待した患者の切なる願いを裏切って、イレッサはその貴重な生命を一週間、一ヵ月で奪ったのである。どうせガンなのだから、どうせ死ぬのだからなどとして許される問題ではない。生命の重さを問うものです。 |
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(3)人体実験の責任を問う・・日本の抗がん剤承認制度は、諸外国のように延命効果を確認しない。延命効果があるのか否か、どの患者に安全か否かは、市販後に調査すればよいとしている。市販後に第3相試験をすればよいという制度は、被告企業が費用を負担して厳格な監視と管理のもとで行うべき臨床試験を、市販後に、企業が利益を得ながら、十分な監視も管理もないままに行うことを認める制度である。 |
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この制度のもとで、被告アストラゼネカ社は、その作用機序や動物実験等から安全性が疑われる結果が出ていたにもかかわらず、副作用の少ない「分子標的薬」という宣伝を行って販売し、市販後、数万人が服用し、多くの被害者を生みだす中で、使用条件を限定していったのである。企業が莫大な利益を得ながら、市販後に人体実験を行うことが許されるのか、その被害の責任を誰が負うのかを問うものです。 |
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(4)医薬品の宣伝広告・販売のあり方を問う・・被告のアストラゼネカ社は、イレッサは承認の前後を通じ、様々な媒体を通じて、副作用の少ない新しいタイプの抗がん剤「分子標的薬」という宣伝を行い、これを信じた多くのガン患者やその家族が、正しい情報を与えられないままに、望みを託してイレッサを服用したのである。医薬品の宣伝・販売のあり方はこれで良いのかをとう訴訟です。
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(5)抗がん剤の承認のあり方、販売のあり方、そして被害救済のあり方を問う・・以上の通り、薬害イレッサ訴訟は、抗がん剤の承認のあり方、販売のあり方を問う訴訟であります。また、医薬品副作用被害救済制度から完全に除外されている救済制度のあり方を問う訴訟であります。 |
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(6)(世界的な標準治療薬の早期承認とイレッサの徹底した情報公開と臨床試験を)・・日本では、諸外国でその有効性、安全性が一応認められた世界的な標準治療薬の多くが承認されていない一方、世界的に有効性、安全性が確認されていないイレッサを世界に先駆けて承認し、このような多くの被害を生み出しました。
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有効性、安全性が確認された世界的な標準治療薬を早期に承認することを望むとともに、イレッサについては市販を中止し、それでも服用を希望する患者に対しては、企業と国により全ての情報が開示された上で徹底したインフォームドコンセントを行ったうえで、この臨床に参加できるようにするのが本来の姿ではないでしようか。 |
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以上の点から私たちは、被告企業のアストラゼネカ株式会社に対して・・
製造物責任(設計上の欠陥、指示・警告上の欠陥、広告表示上の欠陥)不法行為責任、被告国に対して・・国家賠償責任(承認、承認条件、添付文書)を問い提訴しました。 |
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