HOME > 裁判関連資料 > 西日本訴訟裁判資料 > 西日本訴訟・裁判期日のお知らせと裁判報告 >
 2005年12月7日(水) 午後1時15分,穏やかな温かい天候の中,薬害イレッサ西日本訴訟・第7回裁判が,大阪地方裁判所202号法廷で開かれました。
●この日の裁判は
 まず,裁判所側から,原告側,被告側の訴訟代理人に対して提出書証の確認が行われたあと,原告側訴訟代理人より意見陳述が行われました。
まず,原告側訴訟代理人・住田浩史弁護士から「抗がん剤・イレッサの有用性等につていの基本的考え方」を述べていただき,同じく,武田信裕弁護士が「イレッサの安全性について」,続いて,国分妙子弁護士より,「イレッサによる間質性肺炎と他原因との鑑別について」,意見陳述が行われました。
今回は,傍聴人に対して,原告側弁護団より意見陳述書のコピーが配布されました。この意見陳述書のコピーを見ながら聞くことができて,より深く理解が出来ました。
意見陳述の後,準備書面や提出書証について,確認が行われました。
次回期日(2006年1月11日)に予定されている,四日市市の清水さんの本人尋問については,現に肺がんの患者さんで闘病中であると言うことを充分に配慮し,時間や注意点などが細かく確認,この日の裁判は1時間ほどで終了致しました。
●裁判終了後,高等裁判所で審理が続く「MMR・(3種混合ワクチン)大阪訴訟」の支援傍聴に行きました。
裁判終了後,報告集会へと移動の予定でしたが,この日は大阪地裁の同じ敷地内にある高等裁判所にて「MMR・(3種混合ワクチン)大阪訴訟」の期日も開かれ,この日,結審を迎えることから,私たちと同じように薬害被害として戦い頑張っているMMR・(3種混合ワクチン)訴訟の支援の傍聴に大勢で駆けつけました。

●MMR・(3種混合ワクチン)大阪訴訟とは。
1989年4月導入直後から副作用が多発したMMR(3種混合)ワクチンです。さして必要性のないこのワクチンの事故に対して、迅速かつ適切な見直しがなされず、有効期限の切れたワクチンが使用されるなどの問題を含みながら、93年4月まで接種が強行された結果、死亡や重篤な後遺症をはじめ、主に無菌性髄膜炎発症(約1,800人)など2,000人に近い数の子供たちが被害をうけました。厚生省が即座に接種を見合わせれば、少なくとも死亡事例の多くは防げたと言う薬害被害です。
1993年12月24日提訴されたこの訴訟1審が02年5月16日いったん結審し、その後再開され、ようやく03年1月30日結審しました。判決は同3月13日、2家族勝利、1家族不当判決、阪大微研会は責任を認めましたが、国は控訴しました。03年7月25日第1回控訴審が始まったと言う薬害被害の裁判です。
判決は、来年(2006年)4月に出されることが決まりました。
判決が出される最後まで、見守って行きたいと思います。第7回裁判の期日は大阪地裁で12月7日(水) 午後1時15分 202号法廷で開かれます。


●裁判終了後、近くのいきいきエイジングセンターで合同報告集会が開かれました
MMR・(3種混合ワクチン)大阪訴訟の裁判終了後,薬害イレッサ西日本訴訟と合同の報告集会を,尼信ビル10階(大阪市北区西天満4丁目13番8号。梅新交差点南東角。大阪地裁から徒歩数分)にて開催されました。

全く違う二つの,薬害被害の裁判の報告集会をこのように合同で行うことは,あまり例がないかもしれません。活気に溢れた意義深い集会となりました。

MMRの被害者である原告の方たちの,これまで闘ってきて思いや,苦しみ悔しさを述べてMMR訴訟の弁護団からもここまでの経緯や感想について説明,報告がなされました。

イレッサ訴訟からは,弁護団から意見陳述についての説明を詳しく説明して頂いたあと,原告のお一人である神戸の方が本日のお礼を述べました。

裁判から報告集会とね長い時間にも係わらずご参加いただいた多くのご支援の皆様方にたくさんの励ましを頂いて,終了致しました。

皆さまのご支援有難うございました。

本日の報告集会の司会進行は、イレッサ訴訟弁護団の国分妙子先生に務めて頂きました。
●次回・西日本訴訟裁判期日
第7回裁判の期日は大阪地裁で12月7日(水) 午後1時15分 202号法廷で開かれます。

イレッサ副作用死亡被害
(1)イレッサとは
イレッサ(一般名ゲフェチニブ)は、アストラゼネカ社が開発した肺ガン治療薬で、それまでの殺細胞的な抗ガン剤と異なり、癌増殖にかかわる特定の分子を標的とする分子標的薬として、承認前後から、入院の必要のない飲み薬という手軽さも手伝い、「副作用の少ない画期的な夢の新薬」として大々的に宣伝されました。イレッサの標的は、細胞増殖に関わる上皮成長因子受容体(EGFR)とされています。
(2)販売直後から副作用被害が多発
しかし、販売開始直後から、宣伝とは異なり、急性の間質性肺炎(ステロイドパルス療法が効を奏さない場合には、治療法のない致死的な疾患)等の急性肺障害の副作用症例が多数報告され、2002年10月15日には、厚労省の指示に基づき、アストラゼネカが緊急安全情報を発出し、添付文書の警告表示を改訂してきました。その後も、2003年4月までの間、アストラゼネカは、合計4回にわたり添付文書の記載を改訂し、その都度、急性肺障害に対する警告をふやしていき、原則入院処方とし、さらに急性肺障害の危険因子を記載するなどしていったのです。
(3)急性肺障害の予見可能性
イレッサにより急性肺障害が発症する可能性については、すでに臨床試験や承認前の個人輸入による使用により副作用症例が報告されており、、予見可能性があったことは明らかです。しかし、アストラゼネカは、臨床試験により急性肺障害を発症したという副作用報告やイレッサ投与により肺障害が悪化したという動物実験の結果などを厚労省に正確に伝えていませんでした。また厚労省も、海外等の臨床試験症例で重篤な肺障害を発症した事例が報告されていたにもかかわらず、そうした症例について検討をほとんど行わないままイレッサの承認をしました。
(4)アストラゼネカと国の責任
以上のように、イレッサにより致死的な急性肺障害等の副作用が発生することは、承認以前からアストラゼネカ、国ともに十分予見可能な事柄でした。したがって、アストラゼネカと国はともに、イレッサの承認、販売開始にあたっては、最低限、間質性肺炎等の急性肺障害の危険性につき、厳重な警告を行い、入院処方に限定するなど、急性肺障害の発症を抑止するためのあらゆる方途を取るべき注意義務がありました。にもかかわらず、これを怠ったために、イレッサの副作用により多くの被害者の生命が奪われたことは、きわめて深刻であり、この点でアストラゼネカと国の責任はまことに重大です。

・・ お問い合わせ ・・
イレッサ薬害被害者の会

電話・048-653-3998
FAX・048-651-8043
mail: iressa-higainokai@nifty.com
薬害イレッサ訴訟西日本弁護団
弁護団事務局長 永 井 弘 二
京都市中京区鳥丸通御地東入
アーバネックス御地ビル東館6階
御池総合法律事務所
電話075−222−0011
Fax075−222−001
2


西日本訴訟(大阪地裁)・第8回(2006年01月11日)裁判報告