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裁判の合間の食事時間,お昼休みを利用して大阪地裁近くの淀屋橋南詰めで,原告や支援者のみなさん,弁護団の皆さんが集まって街宣活動・チラシ配りを行いました。 |
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この裁判では,被告側証人による主尋問が行われました。被告側の,国と,製薬会社のアストラゼネカ社の証人として福岡正博氏(近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門 教授)が証言台に立ち,午前10:00より午後4:00まで行われました。
福岡正博近畿大教授は,イレッサについてはキーポイントになっている人で,近畿大学でのイレッサの臨床試験に直接に関わり,2001年秋頃,イレッサがZD1839と治験名で呼ばれている段階から,画期的な新薬が近く登場する,この薬は分子標的薬と言って,ガン細胞のみを攻撃して健康な細胞は攻撃しないから副作用が少なくしかも腫瘍縮小効果が従来の抗がん剤に比べ数倍も優れしたがって延命の効果も高い,正に夢のような新薬と多くの医学雑誌や新聞にイレッサの効果を発表しイレッサを世界に広めた人で,この福岡氏は,抗がん剤の有効性は腫瘍の縮小効果があれば良いと今日の主尋問の中でもはっきりと証言しました。しかし,世界の常識では,抗がん剤の有効性は延命効果であるとしているのです。
2002年8月の販売当初から多くの副作用被害が出たことについては,当時は副作用については臨床試験も第U相の段階で多くの点が解明されていなかったのである程度やむ得ないことであると述べ,今では2004年に行われたアメリカでの臨床試験の結果や日本でも行われたドセタキセルとの比較臨床試験などから,副作用のメカニズムが多少解明されてきて死亡に至る被害は現在は最小限度に食い止めることができるようになっている,それで良いと証言。
また,イレッサは今でも抗がん剤の治療には必要な薬剤であると主張,中でもスーパーレスポンダーと言われる画期的に効果を表す患者がまれにいることを必要な理由の一つにあげましたが,このスーパーレスポンダーについての詳細なデータや科学的な証明は出来ないと言い,この事の証明のためにも今・東アジアにおいて臨床試験を行っているので何れ解明するであろうと証言。最後に副作用の被害が明らかとなった時点で原告たちが主張している全例調査を行うべきであるとの点に触れ,当時全例調査はとても考えられないものであると証言。午後3時30分終了しました。
この福岡正博氏の証言の中に,副作用の被害にあって死亡した706名の被害患者の方たちへの手向けの言葉は最後まで一言もありませんでした。何とも悲しいことです。科学者が人間の心を失くしたら失格してしまうでしょう。裁判中であることは別として,このイレッサの副作用被害で亡くなった706名という事実はどのように捉えておられるのでしょうか。空しさが残りました。
ここで,一つだけ皆様に申し上げます。この裁判は原告である私たちの損害賠償のみを審理しているのではありません。私たちがたとえ勝訴したとしても微々たる金額であることは予想しています。それより,この裁判で問われているのは日本における抗がん剤治療全てに関する問題が審理されています。患者のために何が必要であるのか,どこまでの情報開示が出来るのか,切羽詰まったガン患者に向けた広告宣伝はどうあるべきか。そして自己選択と自己決定はどのように進めることがよいのかを含めて審理されています。
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●裁判が終わって...中之島公会堂2階会議室での報告集会
(午後3時50分〜4時50分)
50名ほどの皆さんに参加していただき,いろいろな質問や感想が寄せられました。
・一薬剤師の方からは,ここまで副作用被害が起きているのに一体何を根拠に継続使用を認めているのか教えて欲しいと発言がありました。
・4〜5人で来られたという,大阪公害被害者の団体のみなさんの中から,自分たちも長年公害被害者として苦しみ戦って来た。公害も薬害もない安心できる住みよい社会を望んでいる。応援しているので頑張って欲しいと温かい励ましを頂きました。
・医薬ビジランスセンター理事長で医師の浜六郎先生からは,今日の福島証言について分かりやすく解説して頂きました。
・東日本訴訟の原告でイレッサ薬害被害者の会・代表の近澤より傍聴とご支援のお礼を申し上げました。
・いつも大阪の裁判にはわざわざ青森から来て傍聴していただく,青森公立大学教授の松山先生から,被告側が主張している,スーパーレスポンダーの定義について説明していただき,薬がスーパーレスポンダー探しをするようになっては薬本来の役目が果たせない,その薬が良く効くかのような印象に成りがちで危険な事に繋がると警鐘されました。
最後に,西日本訴訟弁護団団長の中島晃先生の挨拶で長かった一日が終わりました。
裁判傍聴・報告集会にご参加いただいた皆さま,有難うございました。 |
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●私達の願い
何人かの医師たちが自身のブログやホームページにおいて私達の訴訟について痛烈に非難している事は承知しています。何度も繰り返されて来た悲惨な薬害の歴史の中でも,非難や中傷からは何も生れませんでした。私達の訴訟を非難している多くの医師の皆さま,勉強会や学習会を開いた時私達を呼んでいただけませんか。共に考えませんか。何をどうすればガン患者のためになるのかを話し合いしませんか。何処へでも出掛けます。私達は全国薬害被害者団体連絡協議会の加盟団体の一員として,全国の大学の医学部や薬学部などに出掛けて今回のイレッサの副作用について講義の中で聞いていただき学生の皆と共に考える行動を続けています。皆さんと是非そのような日が来ることを願っています。(私達へのアクセスは・FAX:048−651−8043・・メール:iressa-higainokai@nifty.com) |
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