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★ 原告側証人 浜六郎先生への主尋問は傍聴席が満員となりました。有難うございました ★
 三月に入って暖かな日が続いていましたが,前日から又寒さが戻り,大阪・淀屋橋の川岸は吹く風が冷たく感じるその中を,裁判開始前午前11時30より12時30まで,南詰め東側においてイレッサ訴訟を支援する皆さんと、弁護団、原告など10人ほどでチラシを配り、署名のお願いをしました。


 今回の裁判では,大阪は地元でもあり多くの活動で知られています浜六郎先生の原告側証人の主尋問という事で,ハンドマイクも一段と大きな声で訴え・お願いをしました。わざわざタクシーを止めて署名をしていただいたタクシの乗務員の方もいて,いつも大阪の皆様の暖かいご支援に感謝しています。そして、たくさんの署名もしていただきました。有難うございました。
 また,この裁判に東京から5人の中央大学の学生の皆さんが傍聴に駆けつけていただきました。この学生の皆さんは,東京地裁の裁判傍聴でもチラシ配りを手伝っていただいたり,応援をしていただいています。有難うございます。
 裁判は定刻の13:15分に開かれ,この日証言をしていただく,医薬ビジランスセンター理事長で医師でもある 浜六郎先生の宣誓で始まりました。
 この日の裁判は主尋問という事で,原告側がお願いした証人に対して原告側弁護士より尋問が行われます。
 この日は,4人の原告側の弁護士による尋問が予定され,まず1人目は永井弘二弁護士,2人目は武田信裕弁護士,この後10分の休憩を挟んで3人目は中島康之弁護士,4人目は須田康雄弁護士で行われ午後5時に終了しました。この主尋問の詳細につきましては,主尋問報告をご覧下さい。









































薬害イレッサ 西日本訴訟・第15回期日
原告側証人・浜六郎医師の主尋問のご報告
薬害イレッサ訴訟 西日本弁護団
弁護士 中島 康之
 平成19年3月6日午後1時15分から,原告側証人として浜六郎医薬ビジランス研究所所長の主尋問が行なわれました。浜医師は大阪薬科大学招聘教授,日本臨床薬理学会の研修指導医などとして活躍してこられ,薬害を防止し科学的な医薬品のあり方を啓発することに携わってこられた方です。
 浜医師は,まず「医薬品の有効性は確実に,危険性は鋭敏に」という基本的な考え方について証言されました。
臨床試験について
 イレッサのドラッグデザインとしては上皮成長因子受容体(EGFR)の阻害剤とされていたが,EGFRは臓器の機能維持にとって必要不可欠であり,生体の成長等に重要な役割を果たしていること,これを阻害することは生体に悪影響を及ぼす可能性があることを指摘されました。そして,EGFRを阻害する以上,生体に対する毒性は避けられないのであるから安全性については十分に注意を払わなければならなかったと証言されました。
 次に,動物実験については,臨床試験で特に注意すべき毒性を把握することなどが目的であるから,動物実験において1種類でも毒性が生じた場合にはヒトにおいても同様の毒性が生じるかもしれないとの前提で評価しなければならないと証言されました。そして,イレッサにおいてはヒト容量に換算した場合にさして差がない用量でも毒性が表れていることから,臨床試験を行なう際にも毒性について慎重な注意を払う必要があったと指摘されました。
 イレッサの毒性を示唆する所見を切り捨てるようなアストラゼネカ社の態度こそが薬害を生み出すものに他ならないと厳しく指摘されました。
床試験について
 臨床試験で安全性を検討する際には,中止例については被験薬と有害事象との関連が否定できないと考えるべきであるし,またあらゆる有害事象については被験薬との関連を十分に注意すべきである。特にイレッサのような新しい作用機序を持つ物質の場合何が起こるか全く予想できないことからあらゆる有害事象との関連を考えておく必要がある旨証言されました。
 そして,個々の症例を詳しく検討することによってイレッサと肺障害との関連が一層明らかになった旨を証言し,動物実験の結果や前段階の臨床試験から得られた知見をもとに,たとえ個々の治験担当医がイレッサと関連なしと報告した有害事象死亡例についても,アストラゼネカ社としては当然にイレッサとの関連を考えなければならなかった,と指摘されました。
 さらに,明らかにイレッサの副作用による間質性肺炎の発症例が多く報告されていながら「症例の集積を待って検討」として安全性について検討しなかった厚労省の対応も批判されました。
V相試験について
 ISEL試験について東洋人のサブグループ解析で延命効果が示唆されたとのアストラゼネカ社の主張に対しては,そもそもサブグループ解析自体が仮説に過ぎず,また東洋人のサブグループ解析については患者の背景が偏っており比較試験にならない旨指摘されました。また,EGFRに遺伝子変異がある患者には有効であるなどという議論に対しても,これまでのデータからはEGFR遺伝子に変異がある患者に対しても生存期間の延長は認められない旨証言されました。
 さらに,承認条件とされたドセタキセルとの比較試験においても非劣性が証明できなかったこと−非劣性試験とは比較相手よりかなり大きなハンディをもらって比較相手よりも劣っていないことを証明する試験であるが,その試験ですら有用性が証明できなかったことを指摘されました。
果関係について
 イレッサと肺傷害との間には,動物の毒性試験や薬理学的治験・多くの臨床データなどから,時間的関連,一致性,強固性,整合性が認められ,因果関係が認められる旨証言されました。
以上


 日が落ちて一段と寒さを感じる中,午後5時30分頃から,大阪地裁から歩いて15分くらいの所、いきいきエイジングセンター(第一研修室)で多くの皆さんにご参加頂き,報告集会を行いました。
 司会進行は,西日本弁護団の住田先生に務めていただきました。はじめにイレッサの現状の説明と,この日の裁判で行われた主尋問の説明を簡単にして頂き,この後・浜六郎先生から,この日証言された詳細な説明をしていただきました。参加者からの質問や励ましが午後六時半まで続き長かった1日が無事に終了致しました。お忙しい中,裁判傍聴・報告集会参加とありがとうございました。


この後,お疲れ様で・・懇親会に出掛けました。いつも,裁判の日はこんな感じで一日が進行しています。初めての方でも次回の期日には是非傍聴にお出かけ下さい。事前の申し込みも手続きもいりません。ご案内いたします。
西日本訴訟(大阪地裁)
2007年5月11日・大阪地裁・10時00分〜4:00 
浜 六郎先生 被告側による反対尋問
(医師・NPO法人医薬ビジランスセンター理事長
東日本訴訟(東京地裁)
2007年5月23日・東京地裁・13時30分〜16:00 
原告側証人 浜 六郎先生 主尋問
(医師・NPO法人医薬ビジランスセンター理事長
 連絡先・・薬害イレッサ西日本訴訟弁護団
〒804-8186 京都市中京区烏丸御池東入
アーバネックス御池ビル東館6階
御池総合法律事務所
弁護士 永 井 弘 二
TEL:075-222-0011
FAX:075-222-0012
イレッサ薬害被害者の会


西日本訴訟(大阪地裁)・第16回(2007年5月11日)裁判報告