欧州で非小細胞肺癌に対するゲフィチニブの承認に肯定的な見解
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ゲフィチニブはEGFRのチロシンキナーゼを阻害し、腫瘍の成長と拡散に関与するシグナルの伝達を遮断する。欧州ではEGFR変異は肺癌の10〜15%に発生し、このようなタイプの腫瘍はゲフィチニブに特に感受性があることが明らかになっている。欧州の上位5カ国では毎年約10万6000人に新たな進行性の肺癌が発見される。

 AstraZeneca社の開発部門の執行副社長、Anders Ekblom氏は、「ゲフィチニブに対する本日のCHMPの肯定的な見解は重要な前進であり、欧州の肺癌患者の未解決の医学的ニーズに焦点を当て、弊社の個別化医療の戦略を支持し、最適な患者に最適な薬を開発するためのものだ。ゲフィチニブが承認されれば、このようなタイプの腫瘍の患者はファーストライン治療として化学療法に替わる優れた治療を初めて受けられることになる」と話した。

 CHMPの見解は2つの大規模な第3相試験、IPASS(IRESSA Pan-Asian Study)とINTEREST(IRESSA Non-small-cell lung cancer Trial Evaluating REsponse and Survival against Taxotere)を含む報告に基づく。

 IPASS試験では、アジアのファーストライン治療の患者におけるカルボプラチン/パクリタキセルとの比較で、ゲフィチニブの優れた無増悪生存期間(PFS)、高い奏効率、忍容性の改善、顕著なQOLの改善が証明された。しかし、経時的な治療効果は一定ではなく、PFSは最初の6カ月はカルボプラチン/パクリタキセルで、次の16カ月はゲフィチニブで良好であった。これは、EGFR変異の状態で定義したサブグループでゲフィチニブの効果が異なることによるとみられた。PFSはEGFR変異陽性患者では化学療法よりもゲフィチニブで、EGFR変異陰性患者ではゲフィチニブよりも化学療法で有意に長かった。

 INTEREST試験では、化学療法の治療歴がない患者における標準的な化学療法(ドセタキセル)との比較で、ゲフィチニブの全生存期間(OS)の非劣性と顕著なQOLの改善が証明された。事前のサブグループ解析では、EGFR変異陽性患者のPFSと奏効率の改善は、ゲフィチニブがドセタキセルを上回る結果となった。

 AstraZeneca社はFollow-up Measure Studyの実施を求め、白人のNSCLC患者集団での詳細なデータの作成を希望している。試験デザインと評価項目については同社とCHMPで審議中である。

 ゲフィチニブはすでにアジア太平洋地域では未治療のNSCLCに対する確立された治療となっており、AstraZeneca社は同地域におけるファーストライン治療でのゲフィチニブの使用の可能性を検討している。

(森下 紀代美=医学ライター)
がんナビ通信2009年4月30日掲載・参照


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