学生感想文
178〜227
東京学芸大学で,抗がん剤イレッサの薬害被害について学生の皆さんに聞いてもらいました。受講した227人の学生のみなさんに感想文を寄せて頂きました。ストレートな思いを多くの皆さんにも読んで欲しいと思いましたので許可を頂きUPいたしました。 


●178  私は恥ずかしながら,今回の授業をうけるまでイレッサのことは全く知らなかった。薬には副作用がつきものではあるが,それが死ぬことであるとは,患者さんの誰も考えていなかっただろう。きちんと,安全性が確認されていないにも関わらず。約半年という短期間で承認してしまった国には大きな責任があると思う。いくら新薬であっても国が承認し「副作用が少ない」とうたわれる薬であれば誰もが使いたいと思うだろう。そんな患者さん達の思いをふみにじった行為はとうてい許されるものではない。また,多くの症例が発表され,諸外国がイレッサを禁止などをしても,何の対策もとらず承認し続けるということは,多くの患者を見殺しにしているのと同じだと思う。これ以上被害者を増やさないためにも,早急に何らかの対策をとらなければならない。近澤さんの「娘の死は無駄死ではなかった」という言葉がすごく胸に刺さった。彼女がわらをもつかむ思いで使用した薬により薬害にあったという事実を私達は忘れてはいけない。そして,その原因を作った国と製薬会社を決して許してはいけないと思った。 

●179  薬自体もこわいな,と思ったけどインターネットの情報もおそろしいと思った。よくもまあデマを広めるなぁ・と。おいしい話しだけ書いておいて信じた人達が次々副作用にかかり...無責任さに吐き気がする。一錠7216円というすごく高い薬で,患者さんもお金を作るのが大変だろうに,どうして?どうして勧めるの? 少ない寿命をなぜ,より少なくしようとするんだろう。そこまでもうけたいのか。専門的なことは一部の人にしか分からないし,効くと言われればどうにもできない患者さんたちは使う以外に方法がないし・・・「がんの患者さんはいずれ死ぬから」と後から言われてもたまったものではない。プロフェッショナルにしか任せられない病気だから,プロ事態の意識もどうにかならないものか。
           
●180  私は風邪をひいたりしたら,すぐに病院に行って薬を貰い飲んで治しています。それは,病院が出す薬に絶対的な信頼を置いているからです。しかし,今日の話しを聞いて怖くなってしまいました。風邪薬と抗がん剤では確かに対象となる病気の深刻さは段違いかも知れませんが,たった一つの製薬会社のずさんな体制によって,全ての薬の信用性が疑われてしまうのだ,ということを身を持って実感しました。そして,問題のある薬を簡単に認可してしまう厚生労働省,つまり国はもう少し責任を持つべきなのではないか,と感じました。 

●181  確かに抗がん剤は劇薬であるから危険がともなうということは,ある程度はしかたないことだ。でも副作用の危険があることを分かっていて,それを隠して使用させ,多くの患者が死んでしまったのだとしたら,それは殺人と何ら変らない。企業の利益のためにそういったことが可能なシステムがそもそもおかしいものであるのだから,国家単位で問題に取り組んで行かなければ,被害者はますます増えていくばかりである。 

●182  薬害イレッサ訴訟の話しを聞いたのは初めてだった。それと同時に恐ろしさを感じた。自分は重病をかかえているわけではないけれど,もし風邪か何かで薬を飲む時にこの事を思い出して気分が悪くなりそうだ。それ程の事件だと思う。なぜなら政府が承認し,安全だと言われている薬が死を招くなんて自分なら絶望してしまうだろう。 

●183  薬害訴訟について具体的なものをみたのは初めてでした。日本は外国では使われている抗がん剤が,承認されていないため使えないものが多いということを聞いたことがあります。患者への副作用などのことを考えて申請に慎重になっていることはよいのですが,イレッサのように申請されたもので,副作用によって死亡してしまう薬があるのは大変腹立だしい。しかも申請に政府があいまいな態度を示しているのもおかしいと思う。患者の,何としてでもガンを治したいという薬への信頼に対する裏切りだと思う。患者のためになる抗がん剤使用が進められるべきだ。 

●184  「夢の新薬」とうたわれるイレッサ。本来は人を病気から守るはずの薬が命を奪ってしまう。そのようなことが起きたことは悲しくもあり,同時に憤りを感じる。私達は薬を飲むときに情報を多く持たない。多くはその薬を渡す医師や薬のことを信頼して飲むのである。それなのに,その信頼を裏切られさらには騙されるということが今の日本で現実に起こっている。とても恐ろしい事ではないだろうか。なぜ会社は平気な顔をしていられるのか。何故日本という国は延命効果がないと判明したのに今でも許可しているのか。その薬で人が命を落としたかもしれないのに,なぜ厚生労働省はのうのうとしていられるのか。すごくみにくいです。 

●185  夢の薬だとか誰もが飛びついてきそうな宣伝文句をつけて,危険性の高いイレッサをガン患者に使わせた製薬会社は許せない。自分たちの利益ばかり考えて,患者を苦しませ殺していることなんてありえない。そんな薬を承認した国の責任は相当重い。国家ぐるみで殺しているのだから。 

●186  薬物の審査は命に関わる以上,慎重に行われるべきであり,当然透明性を伴うものでもある。しかしこの事例の場合,承認までのスピートも異例の速さで死亡例の多発の後データも公表されず,というようにルールが全く守られていないようだ。私が特におかしいと思うのは厚労省の対応だ。アメリカが迅速に薬の回収を決定したのに対し,日本の「薬品の門番」は,何もしなかった。なぜ単なる一製薬会社の肩を持つのか。承認までの審査の形骸化がすっかり浮き彫りになってしまった今,むしろ「うみ」を全部出し切ってしまったほうが潔いと思うのだが。

●187  抗がん剤のリスクは確かに大きいと思います。患者だって使用する場合はそれなりの覚悟をもって投与を決定するはずです。人によっては未承認の抗がん剤さえ使いたいという人もいると思います。(保険がきかなくても) そんな中「イレッサ」という薬は多くの人々に希望を与えたのではないかなと感じました。(承認もされて,宣伝・広告の仕方も話しをきいて相当なものだと思いましたから)。ですが,重大な副作用があることをもっと知らせるべきであったと思います。津田先生のお話にもあったように,この薬害をただの「抗がん剤のリスク」と片付けることは絶対にしてはいけないと思います。また,承認までにわずか6ヵ月というのが自分には信じられませんでした。自分はある本を読んで,現在の日本の医療事情をある程度把握しているつもりです。近澤さんの話しもちゃんと理解できて本当に良かったと思います。日本でもがん専門医や欧州や米国に負けない体制をつくってほしいと思います。・・裁判の傍聴に是非行きたいと思います。 

●188  薬害の問題の話しを聞いて思ったことが,何度も同じことが繰り返されていると言う事です。国家の管理が少しずさんではないかと感じました。国民の生命を守る義務は国にも企業にも必ずあると思う。近澤さんの話しを聞いてガンの専門医がいなかったことを初めて知った。日本は医学の先端にいると思っていたがそんなことはないと解った。医師免許があればガン治療ができるとは正直驚いた。今まで薬害の勉強はしたことはあったが,自分があまり無知なことが分った。薬害問題についてもっと知りたいと感じた。 

●189  私は薬害イレッサについてほとんど知識がありませんでした。イレッサに延命効果がないのに,何故承認されたのか理解できません。また,明らかに副作用が出ているのに,それに対し,補償がまったくないということに衝撃を受けました。日本はイレッサのことをしっかりと受け止め,これから二度とこのような薬が承認されないよう,また危険性があるとの声があがった場合,しっかりその声を聞くようにならなければならないと思います。抗がん剤はある程度の副作用は仕方ないという考えも改めるべきです。また,ガンの治療対策もより考えていく必要があると感じました。 

●190  今日の授業で,イレッサ薬害のことだけでなく,日本の医療の理不尽な点,ずさんさを思い知らされました。「薬」とは,病気を治すために服用するものです。それが患者に害,まして副作用を与えるものであっては決していけないと思います。まず医療界を担っている人達が自分が薬を扱うことがどんなに責任が重くて,多くの人の命を握っているのか,再確認させるべきだと思います。むしろ,自らが服用して安全性を示すべき,という考えも浮かびました。なぜ欧米では素早い対応ができて,日本では出来ないのでしょう。最近の医者は信用できない,と言いますが,どこへ行ったら,何を使ったら,自分の命を守れるのか,人々に安心を与えられる医療は,もう日本では望めなくなっているのかもしれないと思いました。 

●191  今回の講義を受けて,初めてイレッサについて,そして薬害イレッサ訴訟について知りました。1708人もの人が被害に遭い,その内672人もの人が亡くなってしまったという事実を知り,本当に驚きました。こんなに大勢の人が被害に遭うことになる前に,どうして国は対策をとらなかったのでしょうか。どうして判断を先送りにしてきたのでしょうか。一錠7216円もする"夢の新薬"がこのような被害を与えるとは誰もが考えられなかったことだと思います。実際はワラをも掴む気持ちのガン患者は"夢の新薬"の存在をどれだけ喜んだか想像もつきません。この訴訟は勝つことで患者の命は返ってこないけれど,絶対買って責任を認めてもらいたいです。 

●192  「がん」というのは,今や全く人事としてかたずけられるものでないと思った。確かに延命処置ということを考えれば「死」というものは,いつ訪れてもおかしくないかも知れない。しかし,このことを口実にしてカン゛治療が手抜きで行われてしまう可能性も否定できないと思う。こういったことを考えると,やはり直接「死」につながるこの薬については,いつも以上に慎重な議論が必要だと思った。自分も微力ながら,この問題を考えることで支えて行きたいと思った。 

●193  今日のイレッサ訴訟の話しを聞いて,改めて情報の怖ろしさがわかりました。ホームページ上のイレッサが効くという書き込み,学者,研究者の効くという話し。これをガン患者が聞いたら飛びつかないはずがない。その結果が676人の命を奪うことになった。しかも,この薬を売るときにアストラゼネカは副作用やデータの量を改ざんを行っていた。確かに抗がん剤は死ぬほど苦しい副作用がつきもの,という話しは良く聞くし,そういうものかもしれないが,このイレッサの場合はウソをついていたことが問題だと思う。患者の判断を鈍らせるような情報やデータの改ざん,このような事実があったのに自己責任と言われるのは決して良くないと思う。それに,訴訟をするというときに医療の発展を妨げるという理由でたたかれるというが,たくさんの人を苦しめなければ医療を発展させることは出来ないのか,と思った。そんなはずはないと思う。 

●194  「薬害イレッサ」という言葉は聞いたことがありましたが,ここ近年に起こった問題であることを今日初めて知りました。どうして延命効果がないのに,それでも使い続けているのか本当に疑問に思いました。私はガン治療というものは日々進歩しているものだと思っていました。歴史上さまざまな病気や治らないと思われていた病気が今では予防接種や新たな治療の開発のおかげで,治る病気だと証明されたものが多くあります。このような事実から,ガンもきっといつかなくなるのだろうと思っていました。しかし,イレッサのような言わば「命を縮める薬」が使われ続けていることが衝撃でした。娘さんを亡くされた近澤さんの悲痛の思いは本当に計り知れないものだと思います。治療法の開発で人が実験に使われるようなことはしてほしくないです。1人1人の余命を大切にする治療法の開発を望みます。 

●195  副作用は医療において大きな問題だ。治験と,人権の間,それは命の重みの確認であると思う。情報の公開こそが重要なのだ。 

●196  薬物に関しての問題は本当に難しいと思う。発売される初めは実験的に使うしかないからだ。ただイレッサのように対応が遅いのはどうしてだろうか。被害者に対しては迅速な対応が必要だと思う。自分が病気になったときはその薬に対してよく調べてから自分に使わなければいけないと思った。信用できるのは自分だけなのかもしれないと感じた。

●197  副作用被害の現状を見て愕然とした。ガンという病気で苦しんでいて,最期の頼みの綱としてイレッサにかけた人がいずれ死ぬかも知れないからといって,副作用で寿命より早く亡くなってしまう。その様子を考えたとき,非常にそれを容認している厚生労働省を残念に感じた。もっと呼び掛けるべきだと思う。HPの書き込み,宣伝等を考えるべきだ。ガン患者,その親類達に適正な情報が与えられ,その上でしっかり投与するか,しないかを判断させるべきである。 

●198  助かると思って,本当に嬉しかったと思う,最初は。でも,こんなのって酷すぎると思う。人を助けるための薬が,人を殺めてしまうことはあってはならなてと思う。薬の開発は早く進んで欲しいと思うけど,こういうことは何としても避けてほしいと思います。

●199  私の祖父もガン患者であるため,他人事でないと感じつつも,どこかで遠い世界の問題であると考えていました。しかし,お話しを伺って,特に安楽死の問題に関して,将来教職につき,命の大切さを教える立場になるとすれば避けては通れない問題であると思いました。すぐに答えは出せませんが,自分の中でゆっくりと時間をかけて考えてみたいと思います。 

●200  病を治すために使用した薬が逆に害を与える。なんて理不尽な事だろうか。ガンの方は,本当に不安にかられている。そしてその周囲の人々の不安もまたしかりである。私のおばは,至急ガンで末期にまでいたった。今は元気にしているが,食事は制限だらけ,活動範囲も大幅に狭まった。祖父母は,口を開けば心配ばかり。もうその事しか考えられなくなっている。それでもおばが治療に耐え,精神を強くもったから今の状態があるのだ。そんな,希望を捨てず,がんばろうと必死でもがいているガン患者を,薬害で死亡させるなんて信じられない。怒りがこみあげてくる。不可抗力であって,患者には一切罪がない。マウス実験で危険性が確認されていたにも関わらず,イレッサが出回り,使用されるなんて,もう何も信じられなくなる。ただでさえ,刺激に敏感になっているというのに。被害者の方は非常につらかっただろう。彼らの被害を無駄にせぬよう,今後同様の事件がおこらないように我々をはじめ,医師たちにも十分気をつけてほしい。 

●201 日本の医療は矛盾だらけだと思った。お話しをきいて更に強く感じました。ドラマなどで世間の目をきにして,してはいけないことをしてしまうというようなことがありますが,今回,医療側に間違いがあると思います。

●202  死亡している人が1人でもいるのに,安全だと言い張り,イレッサを承認してしまう厚生労働省には疑問を感じました。効果を優先することも大切かもしれませんが,やはり人の健康第一ではないでしょうか。承認するのは絶対に大丈夫と思える段階になってからにして欲しいと思いました。 

●203  お話しを聞いていてとても切なくなりました。周りがそのようにいいことばかり言うのだから,生にしがみつこうと必死の人間が信じるのも当然ではないかと思います。それでも医者や他の情報機関を駆使して安全性を確認なさった近澤さんは聡明な方だと思います。副作用に関する情報が十分で,危険が大きくともイレッサを使用したなら,これほどに悔しくやるせない思いをなさることはなかったかもしれません。売り上げのための情報戦略で情報を書かなかった会社の態度は「自己責任」として相手におしつけられるほどの正当性はなく,医療にたずさわる,商人というより医者に近い存在として,患者の希望を利用することは,社会に対する責任として,法という形で示すことも必要と考えます。 

●205  病気になったとき,医療の知識がない私たちが信頼するのが医者です。医者が悪いと言ったことは悪い,良いと言ったことは間違いないと,生きたいと思っている人は医者に従うのは当たり前のことなのに,その医者が適当なことをしていたなんて信じられません。私もイレッサという薬があったら使ってしまったと思います。命に関わることにはきちんと立証されていない中途半端なものを使ってはいけないと改めて感じました。 

●205  イレッサという薬害は初めて知りました。そして副作用がこんなにもひどい薬なのにも関わらず,医師が使用しているという現実にショックを受けました。医者は,人の命を預かっていることを忘れてはならないと思います。私たちも医者を信頼しているのだから,医者はその信頼に答えられる行動をしていかなくてはならないと思うし,それを裏切る様な行動をしていたら,患者の信頼がどんどんなくなってしまうと思います。 

●206  イレッサという薬があったのを今日初めて知った。四年前,一緒に暮らしていたイトコが肺がんで亡くなった。亡くなる前の1ヵ月ほどは座っているのも辛そうで,喋るのもいっぱいいっぱいだった。本当に苦しいのだろうということが見ていてすごく伝わった。そんな中に,イレッサという薬の情報を聞いていたなら,きっといとこは服用していただろうと思う。私が知らなかっただけで,いとこはイレッサを服用していたのかな? とも今日の話しを聞いて思った。いとこを見ていて,いい薬があるなら,その薬にすがりたいという気持ちにはすごくわかる。だからこそ,間違った情報,間違った薬を世の中に出してほしくない。今まで,一生懸命闘病生活をしてきたのに,間違った薬の副作用で死ぬなんて,あまりにひどすぎる。 

●207  このような誇大広告は僕達が生きていくうえでかなり目にすることがあるが,このような直接命に関わるような薬という問題で起こしては決していけないものであると思う。もっと,承認されてないまでも有効性のある薬はあるのだから,日本の厚生省の人達は考えて欲しい。

●208  「使わない方が長生きできる薬」なんてものが存在していることに驚いた。2007年にもなって,こんなバカげたことが医療の現場で存在しているとは恐ろしい。この問題は今日話題になっていることだけでなく,医者,病院に関わっている限り私たちにも係っている問題だと思う。 

●209  近澤さんのお話しをきいて,日本のガン治療の現状を知った。想像以上に遅れていることに驚いた。近澤さんもおっしゃっていたが。大抵の患者さんやその家族は医療のプロに頼るしかない。医者や医薬品会社が正確なデータを把握せずに,抗がん剤を使用するのでは私達はどうしようもない。自己決定権の問題だという声もあるそうだが,それでは話しが進まない。この裁判は今まで亡くなった方たちの為だけでなく,これから抗がん剤を求めている人達のためでもあるのだと思う。同じような被害を防ぐために,これからはしっかりした制度を作ってもらいたい。ガンのみならず病気は誰の身にも起こりうることである。皆が自分のこととしてこの問題に取り組めたらいいと思う。 

●210  「イレッサ」という名前は聞いたことがあったが,こんなにも難しい問題だったことを実感した。もし自分や身近な人がガンになってしまったら,きっとどうにかして治そうと必死になっていろんな情報を集め,少しでも治る可能性があるものは,やってみようと思ってしまうだろう。日本の医療の世界,医療だけでないかもしれないが,都合の良い情報だけを公開し,宣伝し,都合の悪い情報は隠す。このようなことをしていたら,被害者が増えていくだけじゃないだろうかと思う。「イレッサ」という問題は,ただ被害をうけた人が補償,救済を受けていないという問題だけでなく,日本の医療の世界全体の大きな問題だと思う。 

●211  薬害はどこか過去の話というイメージがあったので,21世紀に入ってからも起きていることを知って驚いた。ガンという病気はどうしても治らないこともあるわけで,そういった人がこういうクスリにすがるのも良くわかる。この薬の安全性がどこまで確認されて危険性をどれだけ使用者に示していたかが大きな問題だと思う。たとえ,どんな不利な情報でも製薬会社や国には,それを知らせる義務がある。安楽死については本人及び家族の同意が確実に得られれば末期などについては認めてもいいと思う。

●212  今日は薬害イレッサの話しでした。恥ずかしながら,この話しについては今日のお話しで初めて知りました。津田さんがお話しなさっていたように,この世界になくなって良い命など一つもありません。ガン患者も勿論そうです。薬は

●213  イレッサが医師免許を持っていれば誰でも処方できるというのを聞いて驚きました。また,ガン治療を外科医の,ガンを勉強していない人が診ているというのにも驚きました。どちらもあまりガンのことを知らないで薬を処方しているのだとしたら,素人がホームページなどで「効く」と言われているイレッサにただ飛びつくのと同じようなものではないかと思います。プロであり,しかも医師という,人の命を預かる職についているのだから,しかるべき人がしかるべき調査,検討をしてから薬を処方してほしかったと思います。今まだ販売の規制などが行われないなら,少なくとも専門外の医師が簡単に処方できないようにする対策が必要ではないかと思います。 

●214  国家や大企業など,医療現場から離れれば離れるほど,人の死は単なる統計に過ぎなくなるのだなと痛感した。治療薬,ことに生死に深く関わる癌の治療薬において,薬としての存在そのものである治療効果が疑問視されていると言うのに,それを隠蔽したばかりか,薬の利益をあげるために根も葉もないデマまであおるとは何事であろうか。僕の父は大学勤務の歯科医であり,口腔癌の治療にも関わると聞いているが,やはり患者さんが亡くなった時はやりきれない思いに襲われると嘆いていた。それなのにその医師を統べるべき国家や,薬を提供して医師の補佐をすべき製薬会社が人の死に伴う悲しみを軽視し,あたかも実験動物のように患者を扱い,本来の務めである「死をどれだけくいとめるか」という課題をないがしろにしている姿勢に腹が立った。同時に,大病を患った際は外国へ行くより他に方法がないのだと思い知らされた。 

●215  日本のガン医療の現状がこんなにもひどいものだとは思わなかった。抗がん剤として認められているのがわずか20種類ほどであるにも関わらず,イレッサがデータも少なく,5ヶ月あまりという短期間で認められたという事実には疑問を抱かざるを得ない。利益ばかりを考える企業や,それを抑制しきれなかった国の責任は重いと思う。そして,これだけの問題が唱えられながら今なおイレッサが売られているというのは驚きである。消極的な国の態度に憤りを覚えた。 

●216  "イレッサ"と名前を聞いたのは初めてで一見ピルか何かと思った。「画期的」と宣伝されすぎて承認申請が6ヶ月になってしまったというが,こういうことはこの社会で珍しいことではないと思う。期待が大きすぎて実験中何かおかしいことが起こっても実験のミスだと決め付けて流したり,必要な実験をやらなくても大丈夫だとやらなかったりしたことが一切ないと言い切れるのだろうか。一つ謎なのはアメリカもイギリスも薬に対して嫌悪感を示しているのに日本はこの薬に対して禁止令とかがないのはなぜだろうか。この裁判などをしらなかったら私を含め多くの人は知り得ず,再び同じ事件が起きてしまうではないか。

●217  薬害イレッサ訴訟というものを初めて知りました。そして,副作用による被害がたくさん報告されているにもかかわらず,現在も使用している患者さんがいると聞いて本当に驚きました。私はこれを聞いて,何故これらの副作用が報告され,公表されているにもかかわらず,服用する患者さんがいるのか,疑問に思いました。はじめは,それは自己責任なのではないかと思いましたが,近澤さんの抗がん剤や医療現場の状況を聞いて,納得しました。日本には抗がん剤が,世界の約一割程度しかなく,全く足りていないということでした。そのような状況で,「夢の新薬」などという宣伝にだまされてしまった方や,危険な部分と知りつつも可能性にかけたいと思った方の自己責任だと片付けてしまうのは問題だと思いました。また,ガンセンターの現状なども聞き,日本の医療の問題点はまだまだたくさんあるのだと思いました。そしてそれらを知る努力を怠らないようにしようと思いました。 

●218  ガンを治す薬というのは誰もが待ち望んでいるものであるが,道は険しく,現実では抗がん剤が限界で完全にガン細胞を死滅させる薬ではありません。そこで企業はガンに対する新薬開発に力を入れるわけであるが,今回のイレッサについての実験はあまりにもずさんなものであると思う。確かに日本では使える抗がん剤が少ないのが現実である。そのような状態では新薬に対する期待が大きくなり,あることないことの情報を信じてしまいがちになるのである。企業が新薬の実験段階において正確な情報を提供しなかったことは非があるが,ネットの情報をそのまま信じてしまった患者の人々にも悪いところがないとはいえない。これは病院側から知らぬ間に服用させられたものでないことから,これは個人の問題にもなり得るのではないか。 

●219  薬害イレッサの問題は初めて聞きました。今世の中では不二家の賞味期限切れの牛乳を使用してたことから始まったさまざまな問題で騒がれています。これらの問題には共通したものがある気がします。どちらも会社側は利益のことだけを考え,商品の需要者のことを考えていません。イレッサを使用して亡くなった人,不二家の商品を食べて食中毒を起こした人。これらには違いは特にないと思います。こういったことが認められない世の中,消費者や患者が安心できる世の中になることを望みます。 

●220  医療というのは専門的な分野であって私たちにとっては分らないことばかりである。しかしながら医療は生活に身近なものであり生死にかかわるものであるのだから私たちは自分や家族が受ける医療についてきちんとした情報を得て自分で行き方を決める権利を絶対に守らなければいけないと思う。ガン患者の方はガンという大変な病気とたたかうために副作用のある薬を使われる方もいる。私の祖父もそうだった。だが,副作用が『死』とはどういうことなのだろうか。ガン患者の方は病気を治すこと,もしくはよりよく少しでも長く生きることを目的に医療を受けいてるのではないだろうか。人の命を助け,よりよく生きるためにあるはずの医療がこのように無責任であってはならないと思う。薬によって死んでしまう人が出てきてしまう前に,また1人でも出てしまったならば対策を早急に打つ日本の制度にしていかなければと思う。

●221  まず一番に思うことは国の対策の遅さです。ビデオでもあったように,薬害が臨床実験で認められたにもかかわらず,いまだにイレッサを使い続けているのはおかしいと思う。国は,企業と,生きている人間のどちらが大切なのか教えて欲しい。資本主義からは決して脱却できないと思うがその中でも,出来るだけのことはやっていってもらいたい。 

●222  私は両親をガンで亡くしている。父は小二,母は高二の時だった。両親に薬害はなかったが,もし希望として与えられた薬で親が死んだら,私はその薬に関わる全てを許さないだろうと思った。

●223  死亡してしまう人が出てしまう薬を売り,お金をもうけようとする企業が信じられなかった。ガンの患者さん方は,よりよく生きようと必死にガンという重大な病気と闘っているのだと思う。企業はイレッサの副作用について承知していたはずであるのに,承知していなければならないはずであるのに,必死に病気と闘うための術を求めている患者さん方の気持ちを利用するような企業のやり方はひどすぎると思う。国も薬についての重要な情報が不十分なままで承認してしまう制度をなんとかするべきだ。 

●224  厚生労働省がまだかって,厚生省だったときも似かよった事件があったのを思い出した。薬害エイズ問題である。ヨーロッパ・アメリカはこの危険性が判明した瞬間,迅速な対応で一斉回収をした。しかし,日本の厚生省はもう少し様子をみようと先送りして結局,薬害エイズを引き起こしてしまった。つくづく思う。小学生,中学生の頃から必死に勉強して東大に入り,OBのたくさんいる官僚になった彼らは,一体何がしたいのだろうか。さすが,勉強ができるだけあって,問題が生じたらあらゆる言い訳をもちこんでくる。彼らはそんな自分たちの仕事に誇りを持てるのだろうか。勉強が出来ることと頭がよいこととは別だと感じた。もっとワラをも掴む気持ちで裏切られた人達の声を聞いてほしい,リアルな家族の悲痛の声を聞いて欲しい。ますます国民の心から離れていくのをやめてほしいと感じた。 

●225  「イレッサ」その言葉すら私は今日初めて聞きました。"命の重さ"その言葉が胸に響きます。アストラゼネカ社の人は何を思いながらこの薬を作ったのでしょうか。ガンに侵されている人々を助けたい一心で作ったあまりに他のものが何も見えなくなってしまったのでしょうか。それとも,自分の会社の利益をあげたいがために,副作用をわかっていながら作ったのでしょうか。真実は分りませんが,後者は絶対に許されないことだと思います。病気を治すことと引き換えに命を落とす。あまりにも大きすぎる代償です。"殺してくれ"と願う程の痛み。私には測り知ることが出来ません。私の祖父も肺がんです。祖父は後二ヶ月足らずの命だといわれています。病院で副作用に耐えながら,少しでも延命するのか。家で最期の時を迎えるのか。祖父は後者を選んだようです。

●226  私は今回の薬害イレッサ問題について,患者さん達は殺されたと言っても過言ではないと思います。薬のせいでなくなったことは明らかな上に,事前のマウス実験でも悪影響が確認されているし,更には薬の申請から承認が一般的な1年という期間よりもはるかに短い5ヵ月しかかけず,急ぎ足で人の命を作用する薬を許可してしまったことも充分国と製薬会社が責任を取らなければならない理由になると思います。また,ビデオを見て強く衝撃を受けたのは,厚生省の平山安全対策課長の「教訓はない」という言葉です。安全に対して最大の責任を担う人物がこのような反省のない言葉をもらすことが信じられなかったです。反省のない過ちは必ず繰り返されると思います。今後の患者さんの為にも今もう一度この問題を正面から見つめ直すべきだと思います。

●227  イレッサが承認された時の新聞記事の印象は「すごいな」というものだった。ガン細胞に直接攻撃するなら安全だとおもった。日本が抗がん剤を承認することが少ないのは有名な話だから,医療の進歩だけでなく,日本の意識の進歩も感じさせるような内容だった。ガン患者にとっては,希望そのものだったかも知れない。話を聞いて思ったことは,国はこの訴訟を医療の問題にとどめておこうとしているのではないか。今の医療ではガン患者はここまでしか治せない。今の"医療"で副作用はつきものである。問題は,そこではないだろう。一番重要な問題は「医療と患者の関係」だ。医療は専門職として情報を蓄えており,それを患者に提供してやる,という態度をとっている気がする。それではだめだ。それではいつまでたっても患者の被害がなくならない。医療は患者にとって素材であってほしいと思う。その素材を患者の望むように調理するのが医者であってほしいと思う。そういう関係を作れなかったことが,国の責任であり,国はしなければならないことだと思う。衣料の問題にしているかぎり,「教訓はない」ままであると思うが。どうなんだろう?

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